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空白

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無題作品。
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#創作大賞2022

空白

9月に僕を置いていった君は、なんだか暑いねと言った、その月はまだ、朝でも秋の匂いはしなくて、星だけが正確に時を刻んで、僕の時間は進まなくて、それでも生活は続いていくんだ。
夜になって朝がきて、今日も陰鬱な気分になる。朝は嫌いだ、昼も嫌いだ、君に教えてもらった星が見えないんだ。
僕が僕に開けた風穴を、君と歩いた道のぬるい風がすり抜けていった。

忘れたことだけは、忘れられないんだよ。

空白

僕の安っぽい人生を、白々しい夏を、差し出した口約束を、盗まれた痛みを、思い出してしまった、駅前のちらちらとするイルミネーションすらも朧気になっていた。僕の周回軌道上にいた君は、いつのまにかそこから外れていて、僕だけが取り残されていた。ふたご座の二つある心臓はひとつにはなれず、死んでしまった君との記憶を反芻、反芻、反芻。君と出会った夏の終わりを思い出しながら、今日も他人に君を重ねて、はやく死にたいと

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