空白

9月に僕を置いていった君は、なんだか暑いねと言った、その月はまだ、朝でも秋の匂いはしなくて、星だけが正確に時を刻んで、僕の時間は進まなくて、それでも生活は続いていくんだ。
夜になって朝がきて、今日も陰鬱な気分になる。朝は嫌いだ、昼も嫌いだ、君に教えてもらった星が見えないんだ。
僕が僕に開けた風穴を、君と歩いた道のぬるい風がすり抜けていった。

忘れたことだけは、忘れられないんだよ。

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