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青春のU25割に寄せて...『ラ・ボエーム』のなかの色気

この夏、何度か退勤後に新国立劇場オペラパレスへ猛ダッシュしていた私。

なぜならU25割が!(誕生日を迎えるため)終了間際だったからだ!!!!
※新国立劇場では、25歳以下の場合、特定の公演について5,000円という破格でチケットが取れる。運が良ければS席での鑑賞も可能な神制度。

このU25割を活用して何回か観劇できていたのだが、2022/2023シーズンの終了とともに、ついに私のU25割ライフも幕を閉じることに、、、。

最後に観た公演、プッチーニ『ラ・ボエーム』のあと、原作を読み返してオペラの魅力を再確認したので記録する。

ムゼッタの「私が街を歩けば」

ファムファタル大好きな私としては、この歌劇で1番見逃せない登場人物がムゼッタ(原作:ミュゼット)である。

ものすごく映像が綺麗なのはこれ↓

夢を追う若者たちの青春物語である本作。
清純派の王道ミミで足らずに、こういうファムファタルがいて、しかも2幕の良いところをだいたいかっさらっていく。

流れるように曲線的な動きや、言葉の端々から感じられる自信が私たちを引き込む。
こちらが突っ走っている時ほど、こういう余裕ある雰囲気にぐらぐらっときてしまったりするものである。

青春物語の色気?表現の好みを発見

劇場でムゼッタを見た時に思った。
「10代の若人がこんなに色っぽいことあるか?」
カルメンや椿姫にも通じる疑問である。

でもそれはあくまで仕草や表情であって、当日の演奏は理知的というか、そこまで色気が飽和してる感じではないという印象だった。
この不思議な感覚についてずっと考えて、いろんなバージョンを聴き漁っていた。

すると、結局森麻季さんの2006年のアルバムに入っている歌唱がめちゃくちゃ好きだった。
なるほどこの演目では、私は重すぎない演奏で、かつどこかフレッシュな感じが声に残っているのが好きなんだと思う。

そう考えると、視覚情報も歌詞も色っぽいけど演奏が理知的であるというのは、絶妙なバランスのような気がしてくる。

U25割、至福の時間をありがとう。

こういういわゆる若者割引って、大学生までで終了するのがほとんどだと思う。
25歳までが対象のおかげで、仕事終わりにS席でオペラを観ることができた。
それも5,000円なんて幸運すぎる。

しんどくても諦めずに東京で働いていてよかった。
大して給料上がってないのに次からは12,000円か、、、涙

劇場や美術館にいっぱいお金落とせるように、頑張って働くしかないということだ。
そうやって色気ある時間を買いたい、そう思わせてくれる公演だった。

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