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イギリス文学

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#読書の秋2022

『ダーバヴィル家のテス』の伝統と貨幣経済の狭間

『ダーバヴィル家のテス』の伝統と貨幣経済の狭間

批評について勉強しようと思って、放送大学の教材『文学批評への招待』を読んだ。
『ハムレット』についての記述もとても面白かったのだけど、

トマス・ハーディの、あのどこまでも救いのない小説『ダーバヴィル家のテス』についても記述があったので残しておきたい。

許容されるダブルスタンダード

テスの生まれ持った純粋な性質と美貌が災難を招くこの物語。

彼女の父親、貧農のジョン・ダービフィールドは自分が「

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なぜ学者ではなく聖母を選ぶ?〜『ロモラ』を読んで雑記〜

noteで何度も取り上げるほど、私はジョージ・エリオットが大好き。
今回はそんな彼女の唯一の歴史小説で、フィレンツェを舞台にした壮大な物語『ロモラ』の古本を取り寄せ。

「認められなかった女」が「聖母」となる

ロモラは豊かな教育を受けながらも、女であるという理由で、研究の継承者として父に認められない。
また、語り手に「父の世界しか知らない無知な娘である」と評される。

そして彼女は「カッサンドラ

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