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劇場版セーラームーンと指輪

10年以上探していたものをフリマアプリで見つけて買った。

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劇場版美少女戦士セーラームーンSuperS セーラー9戦士集結!ブラック・ドリーム・ホールの奇跡』の入場者プレゼント「クリスタル・リング」。映画を観に来た子どもたちに配布されたおもちゃの指輪だ。

25年前の映画のおまけ。普通の人から見ればただのガラクタだろう。おそらくセーラームーンファンの間でもそんなに知られていないと思う。

でもわたしにとって『劇場版美少女戦士セーラームーンSuperS』は生まれて初めて映画館で観た思い出の映画で、そのときにもらった「クリスタル・リング」もまた、思い出の指輪なのだ。

わたしは幼少期の頃、生活の中心にセーラームーンがあったセーラームーン世代。当時はアニメ放送終了とともにセーラームーンも卒業してしまったのだけれど、ふとしたきっかけで大学生の頃に再燃した。(このあたりは長くなるので割愛)

それ以来、かれこれ10年以上セーラームーンファンを続けている。幼少期に大好きだった期間を含めれば、もう人生の半分くらいセーラームーンとともに生きている。我ながらよく飽きないなと思う。オタクはしぶとい。

90年代版はもちろん、リバイバルブーム以降につくられた新しい作品も大好きなので、新旧問わずアニメも観るしグッズも買う。今みたいに新しいグッズがたくさん出る前は、中古ショップや田舎の古いおもちゃ屋さん、ネットオークションなどいろんな場所を巡っては昔持っていたグッズを探して集めた。

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コンパクトにスティック、お人形、お菓子のおまけ、カード、シール…幼少期に持っていた思い出のグッズをふたたび手にした瞬間の懐かしさとときめきがたまらないのだ。

そんな中、どうしても見つからなかったのが「クリスタル・リング」。

再燃してすぐに、生まれて初めて映画館で観た映画が『劇場版美少女戦士セーラームーンSuperS』だったことを思い出して、DVDを観た。映画館なんて近くにない田舎で生まれ育ったわたしにとって、祖父母の家に遊びに行ったときにいとこたちと連れて行ってもらった生まれて初めての映画館、そこで観たセーラームーンはすこし特別だった。

内容はすっかり忘れてしまっていたけれど、観ているうちになんとなく思い出してきて、とても懐かしくなった。そうそう、劇中で流れる歌がちょっと不気味でこわかったんだよね。

みんなで大きな画面でセーラームーンが観られて興奮したこととか、買ってもらったパンフレットにシールがついていて嬉しかったこととか、同時上映の亜美ちゃんが主役の短編もおもしろかったこととか、一つずつ記憶が蘇ってきた。そして、映画館の入口でセーラームーンの袋に入ったおもちゃの指輪をもらったことも思い出した。

あの指輪、どんなのだったっけ。確かセーラームーンのシルエットがついていたピンクの指輪。お気に入りで宝物を入れるカンカンにしまっていた。いつの間にか捨ててしまったのだろうけれど、どうしてももう一度見てみたくて中古ショップやインターネットなどあちこち探し回った。

「クリスタル・リング」という名前らしいことは映画のビジュアルブックに載っていたからすぐに分かったのだけれど、どこをどう探しても、実物はおろかわたしの記憶とビジュアルブックに載っていたモノクロ写真以上の情報は見つからなかった。

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出典:「映画美少女戦士セーラームーンSuperSメモリアルアルバム」(1996・講談社)

そこから10年以上、わたしの「クリスタル・リング」探しは続いた。それでも見つからなかったので、さすがにここ数年はもう諦めかけていた。古いグッズを必死で探して思い出に浸らなくても、今は新しいグッズが次々に発売されて、充実したセーラームーンライフが送れている。毎日ハッピーだ。

そう思って過ごしていたのだけれど、先日ついに「クリスタル・リング」を見つけてしまったのだ!

何を探すわけでもなく、ただなんとなく開いたフリマアプリに出品されていた。出品者さんも詳しくは分かっていないようで、「セーラームーンの指輪」としか記載されていなかったけれど、写真に写っている色、形…間違いない。ずっとずっと探していた「クリスタル・リング」だ。何年も見つからなかったのに、あまりにも突然出会えてしまったから思考回路はショート寸前。混乱する頭で震えながら購入ボタンを押した。(しかも安かった…)

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数日後、20数年ぶりに「クリスタル・リング」がわたしの元に戻ってきた。(正確には「戻ってきた」ではないけれど)記憶よりも小さくて、大人になったわたしの指にはもちろんはまらない。なんてことないプラスチックの指輪。

それでも、クリアピンクの色味、ハートの形、ギザギザの台座、セーラームーンの横顔のシルエット…すべてがわたしにとってはとても懐かしくて愛おしく、すこし泣きそうになった。わたしにはこのおもちゃの指輪が、ダイヤモンドよりも輝いて見えるのだ。

2021年1月、セーラームーンは25年ぶりにスクリーンに帰ってくる。『劇場版美少女戦士セーラームーンEternal 』。25年前とは内容もキャストも変わって新しくつくられた別の作品だけれど、令和になってまた新しいセーラームーンがスクリーンで観られるなんて飛び上がるほど嬉しい!こんな未来、数年前までは誰も予想できなかった。前売券を自分用、自分用の追加分、興味を持ってくれた人に勧める用…と何枚も買って、公開日までの日数を指折り数えながらとても楽しみに待っている。

そんなタイミングで「クリスタル・リング」にまた巡り会えた。ただの偶然かもしれないけれど、わたしは「ミラクル・ロマンス」だと信じている。だってセーラームーンは月の光に導かれ何度も巡り会うお話だから。

きっと新しい劇場版を観に行く人たちの中には、昔「クリスタル・リング」を持っていた元子どもたちも何人かはいるはずだ。わたしも大人になったし、みんなも大人になった。あの頃とはいろんなものが変わってしまったかもしれないけれど、一緒にあの頃みたいにスクリーンで活躍するセーラー戦士たちに夢中になろう。

わたしは「クリスタル・リング」をかばんにこっそり忍ばせて観に行くんだ。

この記事は、所属するライティングコミュニティ「sentence」のアドベントカレンダーに参加しながら書きました。担当する日付に今日を選んだのは、たまたま空いていて締切に余裕がありそうだったからなのですが、『劇場版美少女戦士セーラームーンSuperS』の公開日がちょうど25年前の今日、1995年12月23日でした。(書いている途中で知って驚きました…!)

やっぱり「ミラクル・ロマンス」でしょ?(笑)



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