ラブレター

こんばんは。
お盆時期に入りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
小学生の頃、お盆時期に学校のプールに行くと言った私に『帰ってこれたらいいね』と母が不敵な笑みを浮かべたことを思い出します。

カレンダー通りお休みの会社に勤めている私は、今日はお休みの日でした。
数字が赤い日ですからね。
だから今日は積読を崩す日にしたんです。
今日読み終えたのは、

川上未映子さんの『すべて真夜中の恋人たち』

) 真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。
それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、____

冒頭から何とも美しい言葉が並んだ物語で、引き込まれました。

この小説を読んでいて、ふと思い出した昔のこと。
小学生の頃、とある男の子からよくラブレターをもらっていました。かなり下手くそな字を書くクラスメイトで、あの、女子たちがお手紙交換する時に折るメモ帳の形、わかりますか?四つの角が変に折れてる、あの簡単に折れる形。
あの形をしたラブレターがよく机の中に入っていたんですよ。

『好きです』とか、『俺のことどう思ってる?』とか。『昨日夢に出てきたんだ』と書かれていたときは、下手くそな字に見合わずロマンチストな少女だなと思いました。

そのお手紙は、中学を卒業するまで続きました。今思うと、とってもありがたいことです。誰かに好意を抱いてもらえるというのは、生き物として本当にありがたいことだと、気がついたのはもっと後だったのですが...。

ラブレターの彼とは違う男の子なのですが、当時13歳の私には気になる人がいて、隣の席だったんですね。
とても綺麗な字を書く、私とあまり身長差のない小さくて、物静かな男の子でした。

13歳の夏だったと思います。
その日もラブレターが机の中に入ってて、
(あ、彼からだな。)って思ってひっくり返したんです。でもね、見たこのないくらい綺麗な字で、私の名前が書いてあるんです。

○○さんへ

一瞬時が止まって、あれ?でもこの折り方は彼だよな?でも何でこんなに綺麗な字?もしかして違う人?いや、そんなわけない。だったらこれは何?と恐る恐る、中身を開くと、中はいつもの彼の下手くそな字なんですね。不思議すぎる。何なんだこの異常なまでに美しい宛名は...。
と、見つめながら裏返したり、閉じたり開いたりを繰り返していると、隣の席からシャープペンシルで、

トントンっ。

って私の机を突く子がいるんです。
当時気になっていた彼ですね。
彼がニヤニヤしながら、私を見上げて、

『それ、字。綺麗でしょ?』って

私も、『うん、え、なんで?知っとるん?』

って聞いている途中でした。
徐に、社会のプリントを裏返して、サッと何かを書くんです。ものすっごく綺麗な字でね、

『◯◯さんへ』

『あいつに頼まれたんよ。宛名書いてって』

と、彼は机に向き直りました。
理解した瞬間に、顔が真っ赤になって思わず両手で隠しました。

彼が私の名前を、しかも下の名前を、彼のあの美しい字で...書いてくれたんた。
恥ずかしくて、嬉しくて、でも同時に、私は失恋したのかと、そうも思いました。

今思えば、彼のことを好きだったのかと聞かれると、よくわかりません。
あの頃好きだった、少女漫画の推しによく似ていて、それが可愛く見えていたのかもしれない。

それでも今でも思い出すと、甘酸っぱい青春に戻れるのだから、あれはもしかすると、


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?