Eve『廻廻奇譚/蒼のワルツ』
2020年12月23日リリース、Eveの1st EP。
ミニアルバムとして数えるならインディーズ時代の作品を含めて2枚目となるが、昨今ではEPとミニアルバムの違いがよく分からない。メジャーデビューしてからは初なので、1st EPと呼ぶ方が相応しいかもしれない。
Eveはニコニコ動画の歌い手としてキャリアをスタートさせ、ボカロPとしての活動も、さらに近年では自身で作詞作曲を手掛けたアルバムをリリースするなど、もはや歌い手というだけに留まらない立派なシンガーソングライターだ。
といっても、僕はニコニコ動画やボーカロイドが全盛期の頃、全く観ていなかったし、聴いて来なかった。ボカロ曲も今では有名な曲は認知しているけれど、全て後追い。Eveに関してもそうだ。
2年前にEveの「アウトサイダー」という曲を聴く機会があって、その曲が良く、アルバムを何枚か一通り聴いた記憶がある。
「ドラマツルギー」や「ナンセンス文学」など、耳に残る語感の詰め込んだ詞のメロディーが特徴的でなかなか良いなと思った。
今回も新しく新作が出ているので聴いてみる事にした。
M1.「廻廻奇譚」アニメ『呪術廻戦』のOPテーマ曲で、先行で配信もされていた。僕もアニメを毎週観ているので、この曲はもちろん知っている。Eveらしさ全開のキラーチューンで文句なしのカッコ良さ。14話からOPが変わってしまったけど、今の所この曲が1番しっくり来る、当たり前だけど。
フルは初めて聴いたけど、2番のAメロはやっぱり変えてきたかと思ってしまう。同じメロを繰り返さないので、1番だけ覚えても絶対歌えないような曲。笑
M2.「蒼のワルツ」映画『ジョゼと虎と魚たち』の主題歌。結構前の映画のアニメ版が公開しているみたいだ。どちらも観ていないので、純粋に曲のみを楽しむ事になる。
以前のアルバムを聴いた時はこういう路線の曲はあったかな‥?あまり覚えていないけど、今回のような王道のバラード曲も歌いこなす。中性的な声が心地よい。映画作品の物語も知らないので、ぜひ実写版からでも観てみたい。
M3.「心海」こちらも『ジョゼと虎と魚たち」とのタイアップとなっており、挿入歌として使用されている。個人的にM2.よりこちらの方が好みだ、元々アップテンポな曲が好みなのもあるけれど。何となくだけど、星空を思い浮かべてしまうような曲だった。
M4.「宵の明星」前トラックで"星空を思い浮かべてしまう"と書いたばかりなのに、それ関連の題の曲が来てしまった。もしかしたら本当にこういう着地をしたかったのかもしれない。
なかなかベースの低音が重い。星空の中を自由に泳いでるイメージだとM3.の方が合っていると思った。
M5.「遊遊冥冥」この曲の詞は個人的にだけど今の僕の心境にリンクして切なくなった。Eveという人物の内面は知らないけれど。
何となく天才肌な印象を抱いていたから、負の感情をそのまま詞に落とし込むとは思わなかった。あと、変な位置に配置しているなあと思う。
M6.「約束」超王道なバラード曲だと思った、歌とメロディーは安定して良いので、詞の中に面白みがもっとあればいいのに、と思ってしまうけど、敢えて普遍的な詞に寄り添ったのかもしれない。真面目な歌でM1.みたいな事してもね‥。
M7.「杪夏」"びょうか"と読み、夏の終わりを意味する。"杪"はこずえと読める。木の枝の先=末端となるので自然に意味は分かるだろう。
詞はおそらく好きな人と過ごす日々の中で、あと何度「またね」と言いあえるんだろうという、いつか終わる青春の日々を夏の終わりの切なさに重ねているように思う。
ピアノの旋律が主体となっている楽曲で、より切なさを引き立てている。初めに聴いた時のインスピレーションでは、もっと寒い冬をイメージしてしまうような演奏だった。
7曲全てを2回聴いたんだけど、やっぱり1曲目の「廻廻奇譚」が最高かな。アニメでも毎回OPを飛ばさずに観るタイプだから聴き馴染みもあったと思うし、フルで聴くともっと好きになった。まだまだ飽きないな。
今後、ボーカロイドの楽曲のレビューなんかも書いてみたいけど需要はあるかな?
邦楽のロックバンドのレビューの方がよく読まれているイメージだし、僕も好きだから書きやすいけど、色んなジャンルをもっと深掘りしたい。
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