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バリ島の仮面を体験してみた

Twitterで流れてきた下記イベントに参加してみた。

気軽にバリ島のお面体験しようぜ~という内容

仮面といえば呪術性・儀式性が強い物品の1つなので、あまり考えずに申し込んだ。実際に仮面を使用する演劇体験もあった。仮面劇をトペンというらしい。バリ島の仮面についてはほとんど知らないので良い機会である。そういえば、風葬墓地のあるトルニャン村を訪れた際、村のお寺の中に仮面を装着した像が祀られていると村民から聞いた。残念ながら、お寺には入れなかったので見てないが。

会場の東京外国語大学。芸人の光浦靖子氏はここのインドネシア語科卒である
用意された仮面の数々。現地ではトペンという仮面劇に使用される
全て木製
様々な造形のお面
全面、上面だけ、下面だけなど種々の類型がある
蛙などの動物の仮面もあった

これらの仮面は全てバリ島で買い付けて日本に持ってきたらしい。仮面は木製で、職人の手作り。価格は木材の種類や製作工程、職人の技量などにより変動する。素人目でも品質差を視認できるものもある。墓地に生えた木を使用することもあるそう。

儀式上、特に重要な意味を有する仮面(白色仮面が多い)については、初めて使用する前に「入魂」を行って神聖化する。超自然的な力を仮面に宿す儀式で、マントラ(呪文)を唱えたり所定の文字を裏面に書き込むことにより入魂する。ちなみに上記の写真のものは入魂されていないそうだ。

入魂された仮面を処分する場合はそのまま捨てず、処分前に「脱魂」儀式を行う。その後は火葬するか、所定の場所に朽ちるまで安置して自然に帰す。

仮面職人の作業風景(上段右)。出来の良い仮面を腿に置き、同じように作製しているそうだ

実際の演劇体験の模様については、写真がないです。小学生から大人までが、自分好みでサイズの合う仮面を着けて簡単な即興劇を演じた。仮面の写真だけ見るとピンとこないかもしれないが、実際に人が着用すると、妙なリアリティさが現れる。

私を含め参加者の皆さんは演劇体験などない方々だったと思うが、各々の出番になると役になりきって別人のような振る舞いをされていた。

印象に残っているのは、「仮面は絶対に床に置いてはいけません」とスタッフさんから忠告されたことだ。顔面に装着するからという衛生上の配慮もあるが、祭具としての神秘性を尊重するという意味合いもあるようだ。机上でさえ直に置かず敷物を敷いてあるのも、その表れだろう。バリ島の仮面についての見識が深まり、参加して良かったと思う。

ちなみに日本では「面霊気めんれいき」という妖怪がいる。古い面が妖怪化したもので、夜になると音もなく動き出す付喪神の1つである(『日本妖怪大全』(講談社文庫)より)。

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