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【人が怖い実話12】陸上競技の闇

陸上競技の関係者から聴いた裏話をまとめる。


駅伝の強豪の私立高校は、全国各地の中学生を勧誘して入学させる。その場合は推薦入学となり、学費は完全免除、つまりタダである。

ある東日本の私立高校(駅伝以外も強い超有名高)のスカウトが、西日本の女子中学生(全国大会上位の常連)を勧誘すべく、本人・ご両親と交渉しに自宅に赴いた。
その際、交渉の材料として現金200万円を持参したそうだ。ちなみにこの勧誘は失敗し、その中学生は地元の公立高校に進学した。


高校のスポーツ推薦入試はどんな問題が出題されるのか? 
某私立高の陸上推薦経験者に聞いてみた。試験科目は「英語、数学、国語」で、英語は英単語だけ、国語は漢字だけ、数学は計算問題だけ。ドリルのような問題だったという。

「それ絶対受かるんじゃない?」と私が問うたところ「受からせる試験だからね。スカウトされてるから高校側には事前に話が通ってるし。けど、ひとり落ちたやつがいて、そいつは一般入試で受かった。ある意味、伝説」と教えてくれた。スカウトを経由したスポーツ推薦でも落ちるケースがあるようだ。


スポーツ推薦で高校入学した場合、修学旅行に行かないケースがある。試合やトレーニングのためだ。ある高校は修学旅行がアメリカなのだが、陸上推薦入学者は行かなかった(行くことは許されなかった)。


高校が中学生のスカウトに成功した場合、その時点で、大学までの進路が生徒の知らないところで裏で決められている場合もあるそうだ。
高校と大学の関係者がつながっており、その大学に進学(陸上推薦)するように促すという。
この話だけでは高校側にメリットがないので、大学側から何らかの利益提供があるのかもしれない。


ある駅伝強豪高校では、男性の顧問教師が長期にわたり女子部員の体重計測に立ち合っており、それが原因でクビになった。
女子の長距離選手は体重の管理が難しいらしく、猥褻目的ではなく(おそらく)、定期的に体重測定して自分の眼で部員の体重を直接チェックしていたそうである。


8時間走」を行う高校の陸上部があった。


陸上のトラック競技の記録を改ざんすることは可能なのか?
可能である。実際に2018年に山梨で実施された中学生の陸上大会で、2人の生徒の記録が改ざんされた。短距離種目で、記録判定員が実際の記録よりも故意に0.01秒速く判定した

ゴール時の写真判定で、本来は選手の「胴体」がゴールラインに達した時間を正式記録とすべきなのに「首」が達した時間を正式記録として、0.01秒分だけ速くしたのだ。現在の計測技術では胴体と首を機械で区別できず、判定員が写真データを目視して判定するためこのような改ざんができるわけだ。

たったそれだけ改ざんして意味あるの? と思われるだろうが、意味がある。中学生が陸上の全国大会に出場するには「全国標準記録」を突破する必要がある。山梨のケースでは、あと0.01秒速ければその標準記録を突破できる、という状況だったため、改ざんに及んだ。

公式の発表では、改ざんの動機は「生徒を全国大会に出場させてやりたかった」から。もちろんそれもあるだろうが、「できるだけ多くの全国出場者を出して県としてのメンツを保ちたかった」という大人側の事情もあると考えられる。

また興味深いのは、改ざん者の判断の早さである。記録を改ざんするには、選手がゴールした直後、正式記録を出すまでの極めて短い時間しかチャンスがない。迷っている時間はなく、即断即決して改ざんに手を染めたことになる。

結局、記録を改ざんされた2人の生徒は「特別枠」という形で全国大会に出場できたのだが、心境としては複雑だろう。
この改ざんを看破した日本陸連に脱帽である。


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