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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2020年5月の記事一覧

【実話怪談28】人の姿

あるタクシードライバーが、京都府の長岡京市郊外をタクシーで客を乗せずに夜間走行しているとき。 ヘッドライトのハイビームを照らしながら、竹藪に沿った直線道路を車で走っていると、前方に人の姿が映し出された。 ライトの光が届くギリギリの距離、車の約百メートル先に見える。 上下とも白い服装で、大人だと思われるが男女の区別や年齢の判別はできない。道路の真ん中に立っているように見えた。おそらくこちらを向いているが、ハッキリとはわからない。なにかトラブルで助けを求めているとか、手を振っ

【実話怪談27】清滝トンネル(京都)

「京都なんて、お化けとか日常茶飯事だよ」 京都でタクシーに乗車したときに、運転手の初老男性が私に放った印象的なセリフである。 彼が清滝トンネル(京都屈指の心霊スポット)を車で夜間走行しているときの話を、興奮しながら語ってくれた。 「トンネルの天井から、肩から上だけの髪の長い女性がぶら下がってたことがあるよ。口元は笑ってた」 清滝トンネルは一方通行の細いトンネルのため、上になにかあると視界のど真ん中に入ってしまう。生きてる人間でないのは、明白だった。 ハンドルを強く握

【実話怪談26】真似できない除霊方法

九州在住30代男性の話。 彼が住む部屋は当初、心霊現象、例えば人の囁く声やラップ音が多発していた。だが好物件であるため、転居は嫌だから策を講じた。 自分の身体に、刺青を入れたのだ。 お腹の真ん中に、「生成(なまなり)」の顔を彫ってもらった。生成とは、2本の短い角を持つ、耳なしで三白眼の鬼女である。その形相は見る者を睨みつけ、口を大きく開き口角を吊り上げ、歯を剥き出しにしている。大きさは、成人の顔の実物大くらいだ。誰かの助言を受けたわけではなく、自分で発案し、決行したそう