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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2020年4月の記事一覧

【実話怪談25】筑波山②(茨城)

※「筑波山①」と同じ筑波山が舞台ですが、別人の話です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 大学生A君は夏休みの夜、友人2人と茨城の筑波山にドライブに行った。友達が運転し、A君は助手席に座り、もうひとりの友人は後部座席に座っていた。 誰も道を知らなかったため、カーナビに適当な山上の目的地を入力して、指示に従って進んでいく。男子学生が3人揃えば、車中では他愛のないバカ話に花が咲くのは必至だった。 しかし、ナビに従っているにもかかわらず、行き止まりに着いてしまい、停車を余儀

【実話怪談24】筑波山①(茨城)

男子学生D君は、友人らと夜に茨城県の筑波山にドライブに出かけたことがある。人数が多い方が楽しいだろう、ということで、人をかき集めて計8人で車2台に分けて乗り込み、縦列して山道に向かった。 D君は後方車の運転を担当。前方車と同じ目的地をナビに設定して、車を走らせていた。前方車がすぐ目の前にいる状態だ。 山中に入り、しばらくしてから、前方車の様子が妙だった。明らかにナビの指示から外れた方角に進んでいる。 「あいつら、どこ向かってんの?」 「何もない方に向かってない?」 と

【実話怪談23】背痛の原因

東北出身の20代会社員男性Rさんが3歳ごろに体験した話。この出来事を彼は覚えておらず、後に両親から聞かされた話となる。 ある時、Rさんは、背中の左上あたりが痛い痛いと顔を歪めながら家族に訴えたそうだ。高い場所から落下したわけでもない。念のため医師に診察してもらったが、特に異常はなかった。 このとき、祖母が「何か悪いもんが憑いてるかもしれね」と疑った。伝手をたどって霊媒師に鑑定してもらうと、こう告げられる。 「落ち武者の霊が憑いています。背中が痛むのは、その武者が背中に矢

【実話怪談22】短期と長期

どん、どんッ。 将寿さんが中学二年のときの夏休み。夜一時半ごろに自宅二階の自室で寝転がってテレビ番組に興じていたとき、部屋の窓を叩く音が聞こえた気がした。 ここは二階。ベランダもない。聞き違いだろ。そう思い直し、再びテレビに目を向ける。 どん、どんッ。 また、同じ音だ。 明らかに、人間の握り拳で意図的に窓を叩く音である。ノックの強さではなく、拳全体で強めに叩いているのが伝わってきた。 彼は戦慄した。テレビの音声が耳に入ってこない。そして。 どん、どんッ。 三度

【実話怪談20】本物

都内にあるバーのマスターEさんに伺った話。30年ほど前、彼が北海道の老舗ホテル内のバーで勤務していたときのこと。 宿泊客として霊能者の宜保愛子氏が来訪した。スタッフが彼女を部屋に案内した際、こう一喝されたそうだ。 「私を誰だと思ってるの」 実はその部屋で、過去に人が亡くなっている。ホテル側はそれを承知の上で、かつ宜保氏に知らせずにその部屋を彼女にあてがったのだ。つまり、彼女の霊能力を試した形になる。 「亡くなった方の霊が、その部屋に留まってたみたいなんです。彼女の力は