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「WALKING・シロクマ」と「CSSスプライト」と「フランソワ・ポンポン」

こんにちは。

今回は「WALKING・シロクマ」デザインのお話です。


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だいぶ昔の話になりますが、「歩いている動物をタップして捕まえる」みたいな幼児向けのゲーム・アプリを作ろうと挑戦したことがあったんですね。

今回の歩くシロクマのデザインは、その時のCSSスプライト画像がもとになってます。

「CSSスプライト画像」っていうのは複数の画像をまとめて一枚にしたWEB用の画像です。

これは画像をただペタっとWEBページに貼って使うんじゃなくて、表示範囲と表示位置を指定することで画像の中の一部分だけ見せるようにして使うものです。

例えば矢印マークの「↑」「↓」「←」「→」を全部一枚の画像にごちゃ混ぜにして入れておきます。

普通に表示するといろんな向きの矢印が全部見えちゃって「なんじゃこりゃ」ってなるんですが、CSSで表示する範囲と位置を指定することで、ここでは「上矢印」だけを見せる。別なところでは「左矢印」だけ見せる……みたいなことをするわけです。

昔はよく使った手法だけど、今はあまり使ってないと思います。
今のエンジニアの人に聞いたら「古い技術ですね」って言われる。たぶん。ははは……。

ま、それはそれとして、今回の「WALKING・シロクマ」を例に取ると、シロクマの歩くポーズ三種類を1つの画像にまとめてあるんですが、これを表示するときに

1.左端からシロクマを1ポーズ分ずつ右へずらして連続表示する。
2.右端に到達したら左端に戻る

というのをループさせると、シロクマが歩いているアニメーションになる、というしくみなワケです。

ちなみに作ったスマホ・ゲームでは捕獲に成功すると、このブログのヘッダーにある「正面顔」になります。へへ。単純でしょ。

まぁ、おかあさんが忙しいときにちっちゃい子が暇つぶしに遊ぶような、無料のスマホ・ゲームのアイデアだったんです。結局、作ったことは作ったんですけど、公開するにあたっての開発者登録とか色々な手続きが面倒になり、お蔵入りとなりました。

それを今回、満を持して(?)Tシャツにさせていただきました!

とはいえ、CSSスプライト画像というのはWEB用ですから解像度が低いです。そのままでは到底使えないので新たにグッズ用デザインとして描き起こし、さらにシロクマのフォルムをかわいくブラッシュアップしてグッズ化したという次第です。


ところで、「かわいいシロクマ」と聞いて私がまず最初に思い出すのは、フランソワ・ポンポンの彫刻です。

フランソワ・ポンポン(François Pompon:1855~1933)はフランスの彫刻家。動物彫刻、特に「シロクマ」が有名ですね。

ポンポンがモチーフとしての動物に興味を持ったのは、当時の時代背景もあったみたいです。

19世紀、時はまさに博物学・動物学の時代でした。当時はヨーロッパの国々に植民地からの珍しい動・植物がもたらされた時代。動物園も作られて一般市民も気軽に見に行くことができるようになり、世界の動物が一気に身近になったんですね。

イギリスではチャールズ・ダーウィン(1809~1882)が軍艦ビーグル号に博物学者として乗船(1831年)し、南米および有名なガラパゴス諸島を含む太平洋の島々を旅をしたのもこの頃。そして、そのときの記録をもとにして書かれた『ビーグル号航海記』(1839年初版)は、博物学への関心が高まっていた当時のイギリスの人々の間で大評判!

そんなこんなで、その頃は動物画や動物彫刻も流行ってて、動物彫刻を作るアーティストもいっぱいいました。ポンポンも数多くの動物彫刻を作りましたが、独特のつるっとしたフォルムの動物彫刻は結構晩年のものなんですね。

ポンポンはずっとロダンの工房で働いていて、独立したのは1917年、なんとポンポン62歳の時。

今でいうなら、ほとんど定年まで働いたって感じですな。

そして代表作「シロクマ」は、1922年、彼が67歳のときの作品です。退職後の第二の人生で芸術家として大成したみたいな話です(←しつこい😄)。

まぁしかし、67歳で(しかも彫刻で)代表作を作っちゃうんだから、体力のある人だったことは間違いないでしょう。

その代表作である「シロクマ」は世界にひとつじゃなくて、合金製とかブロンズ製とか、いろんなサイズ・材質でいくつも作られたんですが、やっぱり一番有名なのは、オルセー美術館の白大理石のシロクマじゃないでしょうかね。

『シロクマ』(オルセー美術館蔵)
制作年:1923~1933年
横・約2.5メートル/高さ・約1.6メートル

本物のシロクマとだいたい同じサイズで作られたこの彫刻は、大理石で白いということもあって、ほんとにシロクマらしいシロクマです。
シンプルかつリアル。
つるんとしているけど筋肉が感じられて、いかにもシロクマらしい体つき。
毛は彫られていないのにふわっとした毛が感じられる。
むしろ毛を彫らなかったからこそ表現できたリアリズムかもしれませんね。

ところでオルセー美術館……これって元は駅なんじゃなかったっけ?

と思って調べました。ご存じの方が多いと思いますが、一応調べたので書いておきます。

* * * * *

オルセー美術館の前身は、1900年パリ万博に合わせてオルレアン鉄道によって作られたオルセー駅。
当初はパリの中心的な駅として盛んに利用されたものの、列車の長さや電化など鉄道の近代化に対応できなくなり、早くも35年後にはその役目を終えました。
その後様々な用途に転用されたましたが、恒久的な再利用には至らず一時は廃墟同然の時もありました。
取り壊しの計画もあったのですが、市民の反対運動などもあったことから、1970年代からフランス政府による保存計画が検討されはじめました。
そして1986年に、主に19世紀美術を展示するオルセー美術館として生まれ変わりました。

* * * * *

オルセー美術館の〈かまぼこ型〉の中央通路は、いかにも駅舎っぽいですもんね。突き当りの大時計は、かつてのオルセー駅にあったものをそのまま引き継いだのだそうです。ものすごく大きくて、彫刻が見事ですね。
駅のシンボル的なものだったんでしょうから、当時の旅客たちはあの時計を見て「ああ、パリに来たんだ」と実感したんでしょうかね。

それはさておき、話をポンポンに戻します。

ポンポンの故郷フランスのソーリューにはフランソワ・ポンポン美術館がありますが、写真で見る限りでは割とこじんまりとした美術館みたいです。

日本では群馬県立館林美術館がちょっと小ぶりな「シロクマ」を収蔵していますし、過去に何度もあちこちでポンポン展が開催されていたりしますから、日本でもけっこう見ることができるようですね。

私もいつかミュージアム・グッズを手に入れたいなぁ~と思ってます。だって、あの「シロクマ」は見るだけというよりも、つるつるとなでたくなるフォルムですからね。

ということで、今回はシロクマのお話でした。

「WALKING・シロクマ」というデザインのTシャツとかを置いているので、気が向いたらウチのショップも覗いてくれるとウレシイです。

こちらの記事でショップの紹介をしていますので、どうぞよろしく!


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