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林檎飴 凛子side2
土曜の朝、凛子は比較的仲の良い同僚からの着信で起こされた。
着信音が何故か最大になっていたのだ。
あぁ゛、朝から誰?
寝起きは人格が変わる凛子。
弟の柊から言わせると寝起きの凛子は魔王らしい。
『もしもし…朝から誰?切るよ!!』
相手も見ずに出てブチ切れてるけど大丈夫でしょうか?
「凛子ちゃん、寝てたん?
今、自宅?
あっ…切らないで!!」
相手を確かめずに、スマホの電源を落として2度寝する凛子であった。
寝ぼけていた為、次に起きた時には全て忘れている可能性大である。
スマホの向こうにいた同僚は…
隣にいた彼氏に、
「凛子ちゃん、ひとりで自宅にいるみたいよ?
あんた見間違いじゃない?
凛子ちゃんが、迎えに来た年上のイケメンと車で帰ったって本当なん?
あの娘、寝起きめっちゃ悪いみたいで怖かったぁ。
私喋ってる途中に切られたやん!
彼氏隣りにおったら、あんな機嫌悪い声出さんと思うわ」
「見間違いやないと思うけどなぁ。
朝見た私服と同じやったし…
てかさぁ、何でお前が凛子ちゃんに彼氏おるかどうか気にしてんの?」
「そんなん…
あんたが凛子ちゃんの事、可愛い可愛い言うてるからやん!
そんな事もわからんの?
もぉ!出てって!」
凛子が寝ぼけて通話を切ったおかげで、仲良し同僚カップルがややこしい事になっております。
アイツも可愛いとこあるんやな…
凛子ちゃんにヤキモチ妬いてからに…
彼女に惚れられてる余裕がある男は、荒れ狂う彼女の言葉に従って部屋から出て行くのだった。
アイツ…
俺の部屋だって理解して言ってたんかな…
カーッとなると後先考えんと物言うからなぁ…
まぁ、そんなとこも可愛いんやけど。
アイツの怒りがおさまるまで、カフェでモーニングでもしとくかね。
読みたい本もあるし…
男は、近所にある馴染みのカフェに入ってのんびりする事に決めたようだ。
周りから見たらめんどくさい女だと思われがちな彼女だが、単純で考えている事が直ぐ顔に出るし、口にも出すから楽なのだ。
プライベートまで、腹の探り合いなんて疲れる事はしたくないからね。
俺には千夏くらい気楽な方が合ってる。
凛子ちゃんみたいに、いつも笑顔を崩さないで、周りに上手く合わせて本音を見せないように振る舞っている方が裏がありそうで安らげないんだよなぁ。
俺の思っていた通り、凛子ちゃん…
家でも、笑顔の癒し系ではなかったようだな。
何か安心したわ!
いつも笑顔絶やさない癒し系とかいないと思ってるからね、俺は。
凛子ちゃん、気性荒いみたいで面白いわ。
千夏からの着信をガチャ切りする位だから…
まぁ、単に寝起きが悪いだけかもしれんけど。
裕介には、嫌がらせとして教えておくかね。
お前の大好きな凛子ちゃんって寝起きめっちゃ悪いって知ってる?って…
俺は、凛子ちゃんに片想いしている葉山裕介に爆弾を落として憂さ晴らしをする事にした。
俺って、中々いい性格してるのよ。
千夏からは、ヘタレ野郎だと思われてるみたいだけど…
裕介の嫉妬まみれの顔もみたいし、ここに呼び出すのも悪くないな。
俺は、珈琲を飲みながら休日の退屈をどうやってしのごうか考えるのだった。
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