本を読む、音を聴くー未完成8

SpotifyのPODCAST、三原勇希×田中宗一郎 POPLIFEの#70と#71を続けて聞く。今回は三原勇希さんがラッパー、あっこゴリラさんと、文化人類学のバックグラウンドを持ち、いまはアフリカ南東部マラウイ共和国で芸術教育アドバイザーとして暮らす長井優希乃さんを招いて、映画・音楽ジャーナリスト、宇野維正さんと五人でのフリートーク。文化人類学のはなし、「他者」や「まなざす」といったことばを起点とする長井優希乃さんのトークをすごく面白く聞いていた。どうしても書き文字だと堅苦しくなってしまうのは、文化人類学や社会学、宗教学などはずっと学びたくて、でも学びたいなと思いながらまだほとんど手をつけていない分野だからかもしれない。

サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所を観る。あらすじなどはやはり書きません。凄く美しい映画でした。久しぶりにずっとこの中にいたい、と思えるような。いまはすっと、映画のなかに入っていけるような精神状態なんだと気付く。ちょっと落ち着いてきたかな?と思う。

モアリズムのナカムラ♠さんのYOUTUBEでの配信ライブをいつものバーで見ていた。僕のDJ人生をまるごと変えたひと。最後に会ったのはLAZSって僕のやっていたイベントか、国立でのモアリズムとin the peaceという最高の、最初で最後の組み合わせのライブだったか。モアリズムのギター、アントニオ佐々木さんが亡くなってから、はじめて見たナカムラ♠さんのライブは、変わらずにナカムラ♠さんだった。もちろんライブ会場のJIROKICHIにも何度も出させて貰っていたし、だからってわけじゃないけど、今回の自粛のさなかで少しは見てきたライブのなかでも、いちばん好きなひとはやっぱり変わらず、かっこいいんだなと思う。彼女は川の中を歌ったときにはさすがにいろいろと思い出した。思えば初めてモアリズムのライブでDJすることが決まったとき、G君ともうひとりでDJをやって、かつそのタイムテーブルを任せるね、といわれた僕は、モアリズムのお抱えDJになろうという野心を抱いて、あえて賭けた。通常、DJがライブに入るときは、オープンから1時間の客入れ、オープニングアクト、そこから転換のDJ20分、一番目のライブアクト、さらに転換DJの20分、そしてメインのライブアクトと、そのあとからの1時間強のDJタイムという流れになっている。DJにとっていちばんの見せ場は、メインアクトのアンコールが終わった最初の曲だ。そこで何をどう、どのくらいの音量でかけるかがいちばんの花場だ。だから僕は最初の1時間と、最初の転換の時間に自分を置いた。ミュージシャンによっては自分のライブまでライブ会場にいないケースもある。だが、やはりモアリズムは開場からずっと客席にいて、DJを聴いていた。お客さんに囲まれて姿は見えなかったけれど、いるんだってことはわかった。いつものように、少し緊張しながら僕はいつものように、サザンソウルをたくさんかけた。オープニングアクトのライブが始まって、DJの最初の出番が終わったあと、喫煙所にいた僕にナカムラ♠さんが話しかけてきた。黒いね、良いね。その日交わした会話はそれだけだった。翌日、僕はモアリズムのホームページにメールした。モアリズムの次のイベントに出してください。マネージャーさんから、メンバーに聞いてみますという返信のあと、すぐにOKのメールを貰った。きちんと僕のDJを彼らは聴いていた。そして長いモアリズムとの旅が始まった。震災前と震災後の東北に行き、JIROKICHIにもDJシステムを持ち込み、国立でエリントンのレコードを聴くというイベントに誘われて行き、ナカムラ♠さんにお前はエリントンの黒さがわかってない!と説教されて、自分のあたまで考えるために深夜の5時間を歩いて家まで帰った。LAZSというイベントも(a mystery of the moon.の前身となるイベント)、ナカムラ♠さんを軸に考えていた。佐々木さんに最後に会ったとき、相変わらず佐々木さんもナカムラ♠さんもずっとDJブースにいた。ずっとそうだった。ライブが始まる前はどこでも二人はずっとDJブース近くにいて、音楽を聴いていた。in the peaceのお二人に紹介されたとき、「最高のブルースDJ」と紹介された。ぐっとくることばだった。そしてKOTEZさんを招いた昨日の配信ライブでもいつものナカムラ♠さんだった。僕の人生をほとんど決定づけたひと。ずっと背中を追いかけているひと。お前、子供作れよ、っていわれたとき、そうか、僕がいまがんばれば、そんな可能性だってあるのか。と気付かせてくれたひと。50を過ぎてようやくギターの楽しさやコツがわかってきた、といって僕を黙らせたひと。コロナの件から、凄くいろんなひとに(藝術家だけではない)対していろんなことを思った。でも、ナカムラ♠さんはやっぱりナカムラ♠さんで、いつものかっこいい、多弁なブルースマンだった。嬉しかった。

アントニオ佐々木の最期の4曲が入ったCDは買えなかった。たまたま。でも僕は思った。モアリズムっていつも月を歌うよねって。そして偶然、僕がはじめたイベントにも月が入っている。次はやはりブルースのmixを作ろう。そう思った。

お読みいただきありがとうございました。

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