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4コマ漫画作成ゲーム『あにさつ・ちゅう』開発手記・その1

 2021年9月21日に公開した『4コマ漫画作成ゲーム』『あにさつ・ちゅう』。

 このゲームはunity1weekと呼ばれる「ゲームエンジンunityを使って、1週間でゲームを作るイベント」のために制作しました。

 『あにさつ・ちゅう』が完成するまでの間に「どんなことを考えていたか?」「どんなふうに制作していたか」色々学びのあったゲーム開発でしたので書き残しておきます。

 超長文になると思うので何回かに分けます。

 また今回、ゲームを作るまでの経緯から話を始めるのが大切だと思ったので、経緯から説明します。少々前置きが長くなりますが、ご了承ください。

ゲームを作るまでの経緯(unity1week開始前)

 『あにさつ・ちゅう』を作る前の1週間はまったく別のゲームを開発していました。

 『時売りのメモリーズ』というRPGです。制限時間内に時間を売り買いしながら物語の真相にたどり着く、というのが目的のゲームです。

 なかなか斬新、新鮮なゲームと感じた方もいるかもしれませんが、僕の中では斬新、新鮮でもなかったため「果たして今更このゲームを作る意味があるのか?」という気持ちがありました。

 というのも、「制限時間内に時間を売り買いしながら魔王を倒すゲーム」をすでに作っていたからです。約3年前に作った『時売りの空中楼閣(ミラージュ)』というゲームです。

 『時売りの空中楼閣(ミラージュ)』はRPGツクールでゲームを作りました。一方の『時売りのメモリーズ』はUnityでの開発を目指していました。

・PostEffect(※1 や3D描画などUnityでできる表現を使いたい

 という気持ちがあったためです。RPGツクールは好きなのですが、絵作りの差別化がとても難しいと感じていました。綺麗なマップを作っても僕以上にマップ作りのウマい人が全国で100万人くらいいそうです(僕妄想)。

 新しいゲームが日々リリースされ、他のゲームと差別化のできていないゲームは埋もれていってしまう今の世の中。特にPRGは制作者の多い人気ジャンルですので、ゲームの第一印象(見た目)で差別化を図れないと厳しいと感じていました。

 であれば、Unityで使える様々な表現を駆使することでマップの差別化を図りたいと考えました。しかし……

 これが難しい。そして、コストも大分高そうと感じていました。

 『時売りのメモリーズ』は

・1ゲーム10~15分くらいでクリアできる
・繰り返し何度も遊べる(マップ配置や登場人物が変わる)

 といった要素を入れようと思っていたので、マップは20~40マップほどほしいと思っていました。つまり、マップの制作コストが高すぎるとマップ制作に時間をとられ、ゲームを完成させるのに多くの時間を費やすことになってしまうのです。かといってコストを抑えるためUnityのTileMapで2Dマップを作ると、RPGツクールで作成したマップとの差別化ができない……

 マップの差別化を考えているうちに「そもそもこのゲームを作り切る意味があるのか?」という気持ちが出てきてしまっていました。

 そんな中で2021年9月6日unity1weekが始まります。

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(※1 PostEffect...物体をふわ~と光らせたり、被写界深度を変えて、周りをぼかしたりできる効果。

ゲームを作るまでの経緯(unity1week開始後)

 ところで僕はunity1week、過去3回参加しています。

 2020年8月。初参加ゲーム『農場娘は5秒ごとに増殖する』

 2020年12月。参加2回目『シムアクト』

 2021年2月。参加3回目『窓の中の先にあるもの』

 何気に1年に3本作ってます。内『窓の中の先にあるもの』は2021年6月にSteamでもリリースしています。ステージ、ギミック増えていますよ!

 そんなこんなでunity1weekは好きなイベントですので、どんなお題が出るのか興味がありました(unity1weekは毎回制作するゲームのお題があります)。お題によっては参加しようとさえ思っていました。

・今年出した『窓の中の先にあるもの』も、もう過去のゲームに感じてきたため(次に続く新しいゲームを作りたい!)
・『時売りのメモリーズ』は作りたい気もあるけれども、今はまだ作る意味を見いだせていないため

 そんななか、お題が発表されました。お題は……

 ちゅう

 ……「ちゅう」!? と思いました。0時にお題が発表されてから39分間悩んでいました。

 悩んだ結果、撮影中(ちゅう)のゲームを作ってキャラとコミュニケーションをとるのが面白そうという結論に達しました。

 なんだかふわっとしていますね。正直完成形が面白いのかどうか、ゲームであるのかどうかさえ見えていない状態でした。

 なので作ろうと思いました。

面白いかわからない、なので作ろう?

 面白いのかどうかさえわからない。ゲームであるのかどうかさえわからない。なので作ろう。これは、よくわからない感覚ですよね。

 僕はゲーム会社でゲームを開発している(よわよわ)ディレクターです。

 会社で作るゲームは手堅いです。なぜそのゲームが売れるのか説明できるよう分析し、流行りのゲームの良いシステムを組み合わせてゲームを作る、最近はそんなゲーム作りも多いです。

 よわよわディレクターとはいえプロ意識は持っていますし、売れるゲームを作って、プレイヤーさんとチームメンバー、他ゲームに関わった多くの人たちを幸せにしたい、という気持ちもあります。そういう意識でゲームを作っています。

 ただ、思うのです。

 出来上がるのは「ゲーム」ではあるけれども、僕の行いたい「ゲーム作り」「創作活動」とはちと違うかな、と。

 新しいものを作る、プレイヤーに新しい体験をさせる、というのは、自分でもなんだかよくわからないところから、たくさんの試行錯誤を経て、生まれてくるものではなかろうかと。

 そういう意味では『時売りのメモリーズ』も守りに入った企画でした。

 過去に作ったことのあるシステムですから。

 当時、そして、正直ちょっと滑ったかな? と思った今でも、『あにさつ・ちゅう』はブルーオーシャンに見えています。キャラ劇に特化したインディーゲームあんまり見かけないのですもの。
(なので、次の企画も考えています)

お題発表後3時間の流れ

 9月6日 0時 お題発表
 9月6日 0時40分ごろ ネタ決定

 しかし、キャラどうするんだ? と思ってアセットストアへGO!
 (アセットって「素材」「部品」みたいな意味で思ってもらってOKです)

 9月6日 1時00分ごろ アセットストアでキャラ発見!

 お題発表から1時間後には今回使用したキャラたちをストアで見つけています。普段からアセットストアは見に行っていて、前々から気にはなっていたキャラだったのですよね。

 9月6日 1時00分~1時24分ごろ ゲームについて考える

・このゲーム、成功、失敗の評価が難しい
・「え? これ撮影中なの?」というセリフは入れたい
・配色イメージはポップな感じで。カジュアルにしよう
・キャラ、URPが使えるか確認→使えない。まぁ、仕方がない(※1
・声が大事。ハイペースで台本を書かないと間に合わない
・音楽の選定

 メモを見返すと大体このあたりのことを考えていました。

 成功、失敗の評価が難しい、というのはその通りで、今思うとこのゲームはそもそも成功、失敗さえいらないゲームなのかもしれません。それってゲームなの? とも思いますが、ゲームかどうかわからないゲームって作るの不安ですけどワクワクしますね!

 配色イメージの「カジュアル」というのは↓こういう感じの色の組み合わせです(間違えてたらごめんねっ! 色彩検定2級取りたて)

画像1

 キャラを発見した際、青髪の女の子と、黄髪の女の子と、赤髪の女の子だったんですよね。これってもう色的には「このすば」じゃないですか(?)

画像2

 今回使用したキャラさんたち
(ちなみに氏名はアセット名でついていた氏名そのものを使いました)

「このすば」(※2 はアイキャッチやローディング画面に使う4文字を「赤、黄、緑、青」で描いていますが、これはキャラのそれぞれのベースカラーにあわせています。というわけで大分「このすば」のロゴ見ました。「のんのんびより」のロゴも参考になりました。

 9月6日 1時24分~2時00分ごろ 無料キャラtaichiをダウンロード

 2時の時点では今回使用したキャラを見つけたものの、まだ、ダウンロードはしていませんでした。

 有料でしたし、これまでストアで購入して、使おうとしたらunityのバージョンが新しすぎたりして、使えなかったケースは多々ありました。なので、まずは無料の男性キャラtaichiをダウンロードして使い勝手を見ていました。

 けど、どうしたものかな……男性キャラ動かしているの楽しくない。

 9月6日 2時00分ごろ。ほのかちゃんをダウンロード

 男性キャラ動かすのに飽きてきましたし、ツンデレキャラ好きなので、見た目ツンデレかな? と思ったほのかちゃんを購入しダウンロードしました。

 9月6日 2時20分ごろ。可愛いのを確認する

 ほのかちゃんが可愛いのを確認しました。しかし、意外だ……ほのかちゃんを主人公にしようと思っていましたが、赤髪なのに気の強さはあまりなく(偏見?)とても家庭的なアニメの多いキャラでした。赤髪なのに。

画像3

 アニメパターンすぐ確認できるよう画像撮影しとこうか、と思って撮ってた写真が↑のもの。怒った表情がない、というか怒った時には戦闘態勢入ってた。

画像4

 この子主人公にするのは少々難しいかもしれんな、と思っていました。

 9月6日 2時30分ごろ。fungusをインポートする

 ノベル作成アセット、fungusをインポートしました。

 9月6日 3時10分ごろ。TimeLineを触る

 しかし、今回fungusで作るのか? と思い始めました。fungusって下にウィンドウが出るタイプのノベルゲームを簡単に作れるアセットです。

画像5

fungusがあればこういうの作れる

 しかし、今回作りたいのは↓のような絵なので……

画像6

 これをfungusで作ると大改造にならないか? と思ったのでした。すでにあるアセットから機能の拡張を行う際、そのアセットの知識がないと色々意図しない不具合も出てきそうです。

 そこでUnityにあるTimeLineという機能を触ってみました。TimeLineというのは文字通りタイムラインみたいなものです(説明になってない……)

 ひとまず初日お題発表から寝る前まではこんな感じでした。

「4コマ漫画作成ゲーム『あにさつ・ちゅう』開発手記・その1」
「4コマ漫画作成ゲーム『あにさつ・ちゅう』開発手記・その2」

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(※1 URP...Universal Render Pipelineの略。軽くて高品質なレンダリングができる的なもの。詳しくは詳しい人に聞いてね!
(※2 「このすば」...この素晴らしい世界に祝福を! の略。ラノベ。アニメやゲームもあるよ。

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