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書きかけの小説

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頭の中にぼんやりと浮かんでいるだけの状態で書いた習作や、書きたまっていない小説の保管箱。もし、これ続きが読みたい、というのがあればリクエスト下さい。善処(絶対に書くとは言えないと… もっと読む
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2020年4月の記事一覧

聖痕の守護者 第6話 家庭の事情って何?

聖痕の守護者 第6話 家庭の事情って何?

 ジャスティスの新たな任務の場所はロムルス王国の南部にある森林地帯。その森林地帯内に拠点を構えている魔人を討つというものだ。特別なものではない。守護戦士候補チームの任務は全て魔人討伐。赴く先が違うだけだ。
 ただ今回の任務に限っては少し条件が異なる。現守護戦士の二人、聖剣士ディオスと聖女マイアが視察という名目で同行していた。二人は他のチームの視察にも回っていて、いよいよジャスティスの番となったのだ

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聖痕の守護者 第5話 心に秘めたもの

聖痕の守護者 第5話 心に秘めたもの

 かつての様に手入れを怠らないでいれば、季節毎に美しい花を咲かせているであろう庭。だが今は、美しいとは感じられない雑草が生い茂る空地だ。いつからこの様になってしまったのかカロンは知らない。彼が初めてこの家に来た時には、すでに今の様になっていたのだ。今よりも、もっと酷かった。少なくとも今は、存分に槍を振るえるだけのスペースの雑草は綺麗に刈り取られているのだから。
 すでに陽は落ちて、庭は夜の闇に覆わ

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聖痕の守護者 第4話 強さを求める人たち

聖痕の守護者 第4話 強さを求める人たち

 任務のない間、従属部隊の兵士の仕事は訓練だ。午前中一杯を部隊訓練、それが終わったあとも各自で自己鍛錬を行っている。戦いで死にたくなければ、鍛錬を怠るわけにはいかない。怠らなかった兵士たちが、一部には運が良いも含まれるが、生き残っていると言っても良い。
 カロンも、住まいに関しては特別扱いを受けているが、訓練は他の兵士と変わりはない。毎日、ロムルス王国の宿舎の隣にある訓練場に通っている。

「なあ

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聖痕の守護者 第3話 家族の溝

聖痕の守護者 第3話 家族の溝

 聖光兵団の本部は聖光教皇国内にある。その為、各国から選抜された勇者候補生は教皇国内で暮らしている。従属部隊の兵士たちもそうだ。
 だが彼等が帰る場所は聖光兵団本部の施設ではない。母国が用意した宿舎だ。これは他国から訓練の様子や内部情報を隠すため。三国を一カ所にまとめてゴタゴタが起きても面倒なので教会もそれを容認しているのだ。
 魔人討伐任務を無事に終えたカロンも教皇国に戻ってきた。ロムルス王国の

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作られた勇者、生み出された悪魔 第2話:やる気なし

作られた勇者、生み出された悪魔 第2話:やる気なし

 オルディネ王国が戦っている魔人族は魔王と呼ばれる存在を頂点としたひとつの国だ。王国は公式には国として認めていないが、実態としてそうであることを知っている。そうであれば百年以上、ただ戦うだけでなく外交による解決を実現するよう努力するべきだった。そんな批判の声がなかったわけではないが、その声は小さい。
 オルディネ王国もまったく交渉を試みなかったわけではない。何度も終戦、は無理でも停戦に出来ないか魔

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