マガジンのカバー画像

書きかけの小説

21
頭の中にぼんやりと浮かんでいるだけの状態で書いた習作や、書きたまっていない小説の保管箱。もし、これ続きが読みたい、というのがあればリクエスト下さい。善処(絶対に書くとは言えないと… もっと読む
運営しているクリエイター

2020年3月の記事一覧

聖痕の守護者 第2話 魔女に育てられた子

聖痕の守護者 第2話 魔女に育てられた子

 アケローン大陸には三つの国がある。大きく分けて大陸中央から南部にかけて領土を持つ『アイネス王国』、東部と中央東部の『ロムルス王国』と西部と中央西部を領土とする『ユウス王国』の三国だ。他にも『聖光教皇国』という都市国家があるが、これは聖光教会の総本山という位置づけで独立国家としては人々に認識されていない。
 ただこれはあくまでも人族が、実際はこういう言い方は正しくなくロマヌス人がというべき、支配す

もっとみる
作られた勇者、生み出された悪魔 第1話:交わる運命

作られた勇者、生み出された悪魔 第1話:交わる運命

 泥に汚れた顔。それ以上に乾いて黒くなった血が彼女の全身を汚している。黒目の大きい可愛らしい瞳は閉じられたまま。もう二度と開くことはないのだ。
 何故こんなことになったのか。彼女には戦う力などなかった。戦場は彼女には縁のない場所のはずだった。

「……これが現実だ。貴様の考えがどれだけ愚かであったか、これで分かっただろう?」

 彼女の亡骸を前に立ち尽くすベリアルに向かって、厳しい言葉が向けられる

もっとみる
聖痕の守護者 第1話 英雄の養子

聖痕の守護者 第1話 英雄の養子

 部屋の中に怒声が響き渡っている。何が話されていたのかは分からない。分かるのは自分を抱きかかえている母親がかなり怒っていること。その怒りが自分に向けられたものではないことに安心している自分がいた。母は厳しい。体罰はいつものこと。何日も食事を抜かれたり、暗く狭い部屋に閉じ込められたこともある。とても辛かったがそれが普通ではないとは知らなかった。母を恨むこともなかった。怒りが解けたあとに見せる母の優し

もっとみる