恋愛小説 なぎさ 第2話

出会いは、偶然だった。
いつも帰りに寄るコンビニで、必ずカフェラテを買う1人の女の子が目についた。
何歳くらいだろう••幼く見えるけど、少しくたびれたスーツ姿、まあまあいってるのかな?
纏めた髪、ピンク色の唇、薄い化粧、真面目そうな横顔、全てが自分の好みだったんだ。

•••あんな人は、どんな人を好きになるんだろう?
そう考えながらも、声をかける勇気はなく、いつもそっと彼女がカフェラテを買っていくのを見届ける。
そんな毎日が、もう2ヶ月ほど続いていた。

あかんあかん。
これじゃ、完全にストーカーやん。
もう、やめよう。
そう思って、ある日を境に、そのコンビニに行くのをやめた。
それからしばらくして、営業である会社に行くと、•••彼女がいた。
まさか、同業者だったとは。
そんな偶然、あるわけないと思ったけど、思わず声をかけてしまった。

あの、僕のことわかりますか?

はい?•••ああ、はい。
私がよく行くコンビニで、いつもコーヒーを飲んでいる方ですよね。
奇遇ですね。お名前は?
仲村美咲です。
美咲さん。僕は、狩野凪っていいます。
狩野さんですか。

とりとめのない会話、とりとめのない挨拶。
でも、うれしかった。
彼女と初めて話せたことが。

•••うれしかったんだ。
でも、事はそんな単純な話ではなかった。

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