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映画『夜明けのすべて』感想

仕事終わりに映画館へ。
社会人になってから金曜日は映画を観ることが多くなった。仕事から開放され、違う世界に飛んでいける素晴らしい娯楽。

公開初日で観たのは『夜明けのすべて』。
監督が『ケイコ目を澄ませて』の人で、朝ドラで観てた二人が再共演と知ってから絶対に観ると決めていた。
大丈夫だよ、と背中を擦られているような温かな映画だった。


※ここからはネタバレを含みます。知りたくない方は鑑賞後にご覧ください。




まずは冒頭の映像が素敵。
カメラワークと独特の色彩がいい映画が始まることを予見させる。この色合いと光が映画全体を通して柔らかい印象を与えていたと思う。

藤沢さんがPMSの症状が酷く、会社で取り乱すシーンは現実味がありすぎて辛くなった。どうしようもなく恥ずかしくて取り繕えなくて、逃げ出したい気持ちがありありと伝わってきた。
それから山添くんの元上司に対する強がりや苦しい時に大丈夫、大丈夫、と周りに言ってしまう場面も他人事とは思えない。けっして遠い話ではなくてすぐ近くにあることなのだと改めて感じた。

そんな苦しい所から動きが出てくる、個人的に好きなのが山添くんの自転車移動シーン!
迷惑でしかない自転車のプレゼントは確かに彼の世界を広げていて、木漏れ日の公園を通る時は彼の心を映しているみたいで穏やかだった。
自分ではどうにも出来ないことで上手く動けなくなっていた所から、助け合って良い方へ動いていく素敵な関係が出来上がっていて羨ましい。

時折星空と同調するように都会のネオンが映る。孤独に光る星に勇気づけられるのと同じように、地球にもこんなに光があって誰かを照らしているんだなーと嬉しくなる。そして職場が変わってもお互いが頑張っていることを知っている人がいるのも、離れている星と重なる。

穏やかに寄り添ってくれる良い映画だった。


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