ひとりぼっちのくろ_2
夜が明けると、空はよく晴れていた。
「あたしの背中につかまりな!」
ホーホはくろを乗せて飛び上がり、となりの島を目指した。
風に飛ばされないよう、ホーホの肩にしがみつきながら、くろは聞いた。
「ねえホーホ、お母さんには、人間に近づいちゃいけない、って言われてたよ。ほんとに人間と一緒に暮らすことなんてできるの?」
「できるとも!たくさんの猫が、人間と暮らしてるよ」ホーホは自信たっぷりに答えた。
「でも、よく見分けないとね。人間にも、猫と暮らしたいのと、そうでないのがいるから。暮らしたくても、わけがあって暮らせないのもいるし、いろいろだ。でもあたしは、見込みがある人間かどうかを見分けることができるんだ」
「すごいや、ホーホ」
「だてに長生きはしてないよ」
空から、人間が暮らす家の屋根がたくさん見えはじめた。
ホーホは、しばらくの間、ブツブツと独り言を言いながら、家々の上を飛んだ。
「ここは先住猫が強すぎてダメ」「あの家にはやんちゃな子犬がいるしなぁ」…
やがて、一軒の家の窓に目をとめた。
家の窓から、憂鬱そうに外を眺めている子がいた。
「あの子なら、いける」
ホーホはつぶやいて、その子の上をくるりと回った。
(つづく)
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