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自分が経験できなかった世界線の話

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2021年6月の記事一覧

寂しさの引力で、貴方とコーヒー豆を挽こう

 初恋は多分小学校の先生だった。あの頃は一括りに大人に見えたけど、たしか若い先生だったと思う。情熱的で面倒見の良い彼女に、私はすぐに懐いた。そう、大学を出てからまだそれほど経っていない、若い女の先生だ。
この頃の私は自分が何者かなど考えもしなかった。
 次に好きになった記憶があるのは中学の部活の先輩だ。小学校からの友人の誘いでうっかり入部してしまったテニス部で、よく面倒を見てくれた三年の先輩。たっ

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