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ママが やって

3歳のむすめは、
自分でやりたい!という気持ちが強い子だった。

まだ話せないころでも、「あれをとって」という意味の指さしは ほとんどしなかった。
ほしいものは、よじのぼってでも自分で取りに行く。

逆に履いたくつ、
かけちがえたボタン、
こぼれたお茶に
お皿からはみだしたマヨネーズ。

日常のいたる場面に、自分でやりたい!の気持ちがつまっていた。

急いでいるから、というこちらの都合で
手を足そうものなら
「自分でやるの!」と
烈火の如く 怒られた。

そんな長女が あるときから
さびしそうに

「ママ、やって」

と言うようになった。

ママが食べさせて
ママがスボンをはかせて
ママがボタンをとめて
ママがお顔をふいて

今まで一人でできていたことも
全くやらなくなった。

ママがやる?自分でやる?

返ってくる答えはいつも
「ママがやって」に変わった。

その言葉が聞こえるたびに、
服を着せ、食べさせ、靴をはかせ、
ぎゅっと抱きしめた。

数ヶ月がたち

少しずつ変化が訪れた。

あれほど言っていた
「ママ、やって」を ほとんど
言わなくなっていた。

かわりに長女は にっこり笑って
ほこらしげに言う。

「わたし、お姉ちゃんになったもん」

その手には新生児用のオムツと、
おしりふきが握られている。

以前と変わらない強さで、
ぎゅっと抱きしめた。



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