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27日

「よいお年を」と聞こえる時期になった。小学生の頃に受け取った年賀状に「よいお年を」と書かれていたことを思い出す。年賀状は年末に準備するし、来年一年間を「よいお年」にしてくださいという意味で当時の友だちは書いたのだろうか。小学生なので単なる間違いだとはわかっているがたまに思い出すこのエピソードは、きっと年老いても思い出すのだろう。

先日冬至が過ぎ、これからまた日が長くなっていくことに希望を抱く。25日を境にスーパーの店内放送も商店街の音楽もクリスマスソングからお正月の歌に変わっている。私たちの耳は違和感なくそれを受け入れている。毎年のことだから、洋風の音楽から和風の音楽に変わっても耳はその変化に順応していく。以前も記したが今年一年で「新しい生活様式」というものに私たちは戸惑いつつも順応していった。マスクやアルコール消毒液の品薄もウイルスが蔓延する冬には飽和状態になっているくらい。あの時はメーカー問わず何かしらを手に入れたかった人々も、今はネームバリューのあるメーカーを選ぶ余裕があるし、売れていくのもそれらだ。名前を聞いたことのないメーカーであっても成分が一緒であるとか、製造元が同じであることを知らない人は多い。

年内最後の公休日、朝昼兼用ご飯を無印良品のカフェでいただく。久しぶりにご飯とお味噌汁と何種類かのおかずを前にして、私が摂り入れたいのはこういうごはんだ!と奪われた名前を思い出す瞬間に似た感情を抱いた。仕事の休憩中に摂るご飯は主にカップラーメン、菓子パン、冷凍食品の炭水化物の三つに分類されている。「1日分の野菜」というパックジュースを飽きずに飲んでいることで偏った食生活をチャラにしてくれていると願う毎日だ。座席の真上に付けられていた丸い照明は月のようだった。「月みたいだな」と思える余裕があってよかった。身を粉にしてまで働いてはいけない。最低限これだけは念頭に置いてあと四日の仕事を乗り切ろうと思う。

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