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アルポート症候群治療薬になるか?:バルドキソロンメチル

おはようございます。うしくんです。

協和キリンは7月28日、バルドキソロンメチルのアルポート症候群を対象とした製造販売承認申請を厚生労働省に提出したそうです。

アルポート症候群ってなに?って感じですが

アルポートって名前ですかね?よくわかりませんが、

先取りで勉強してみましょう!

1.アルポート症候群ってどんな病気?

症候群ってことは、何か一連の症状が多いか、原因不明で症状だけわかっていることですかね。

とりあえずガイドラインの定義を見てみましょう。

アルポート症候群
古典的には進行性の(腎不全に至る)遺伝性腎炎(腎症の方が表現として正しい)に難聴を伴う症候群を指す。大部分は、IV型コラーゲン遺伝子変異によるものであることが判明し、特徴的な遺伝子の変異が証明されれば家族歴や難聴は診断に必須ではない。アルポート症候群は、約80%がX型連鎖型であるが、常染色体劣性型(15%)・優性型(5%)のものもある。de novo

要は、コラーゲン遺伝子変異によって引き起こされる進行性の腎障害(血尿・タンパク尿・腎機能低下)と難聴を伴うものということですね。

IV型コラーゲンがある部分が障害されるということでしょう。

IV型コラーゲンは、腎臓の糸球体基底膜、内耳、眼にも存在するので自ずとその部分も障害されていきますね。

ちなみにはじめてこの症状について発見した人は、アルポートさんではないようです。

ただ、アルポートさんがこの病気についてアルポート症候群としてBMJ(医学雑誌)に報告して広まったそうです。

ただ、個人名が使われる病名ってどうなの?という風潮が見られています。もともと日本では、アレルギー性紫斑病・血管性紫斑病と呼ばれていたため、血管性紫斑病でいいんじゃない?という意見もあったりするようです。

そのうち病名も変わってしまうかもしれませんね。

まとめ
アルポート症候群とは、IV型コラーゲン遺伝子変異によりIV型コラーゲンが作られないことによる腎障害・難聴を引き起こす遺伝子疾患のこと

2.バルドキソロンメチルってどうやって効くの?

これは、一般名なので今後、商品名がつきますね。

添付文書は、もちろんないので、KYOWA KIRINさんのHPより機序について抜粋です。

作用機序
本剤は、体内のストレス防御反応において中心的な役割を果たす転写因子 Nrf2 活性化する低分子化合物であり、広範な抗酸化及び抗炎症作用によって腎機能を改善させると考えられます。

ふむ。Nrf2 転写因子は初めましてかも。

Nrf2( Nuclear factor-erythroid 2-related factor 2)は何をする物質なのでしょうか?

Nrf2:生体防御遺伝子の発現を誘導する転写因子のこと

これだけでは少しよくわからないので、少し調べてみましょう。

Nrf2とKeap1 〜健康維持と長寿のカギ?〜より抜粋
Nrf2 は通常、Keap1 二量体と複合体を形成してユビキチン化を受け、プロテアソームによって恒常的に分解を受けています。つまり、Nrf2 の転写活性は Keap1 により非常に低いレベルまで抑え込まれています。しかし、スルフォラファンのような異物 (生体にとって有害な、反応性の高い物質) が存在すると、それが Keap1 に存在する特定のシステイン残基のチオール基を修飾することで、Keap1 の立体構造を変化させます。すると Keap1 による Nrf2 のユビキチン化が抑制され、安定な Keap1-Nrf2 複合体となります。これが分解されずに残ることによって、新しく生成してきた Nrf2 分子は Keap1 に捕捉されず、安定的に核内移行し、抗酸化剤応答配列 (Antioxidant responce element: ARE) のプロモーター領域へ結合して、ヘムオキシゲナーゼ-1 (HO-1) や NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ-1 (NQO1) といった種々の生体防御因子の発現を誘導します。

なんか、余計難しくなったかもしれませんが、

要は、Nrf2が分解されければ、核内に移動して種々の生体防御因子の発現を誘導するということですね。

ちょっと難しいので、下記に図を示しておきます。

スクリーンショット 2021-07-30 10.31.56

”バルドキソロンメチルの糖尿病性腎臓病に対する効果”より抜粋

バルドキソロンメチルを投与することでNrf2が分解されず転写が促進されるということですね。

この時に、転写促進される物質の抗酸化ストレスとか抗炎症作用により腎機能改善させるということらしいです。

ん〜・・・転写されるのが抗酸化ストレスだけでなく、IL−6などの炎症性物質も促進されないのかな???

現時点では、情報が少ないからわからないですが、承認されたらまた勉強してみたいと思います。

まとめ
転写因子 Nrf2 が分解されるのを防ぎ、転写を活性化し広範な抗酸化及び抗炎症作用の物質を産生させることで腎機能を改善する


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