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世間はそれを怠けてると呼ぶんだぜ

前回記事での”どういう訳で文系の私がWebの世界に足を突っ込んでしまったか?”の深掘りはさほど面白くもないので気が向いたら書くとして。

丸10年、Webデザイン+ちょこっとコーディングの仕事をしていた私に、最初にIllustratorを教わりに行ったPC教室兼Webデザイン会社の社長から、
『会社を株式会社にしたよ』という連絡が入った。
彼女は現在は都内でWeb制作やコンサルの仕事をしている。

当時Illustratorを習いに行っただけだったのだが、htmlの勉強をさせられ、資格も持っていなかったOfficeの検定も受けさせられ(それ自体はとても楽しかったのだ)いつの間にか私は彼女の会社で仕事をするようになっていた。
紆余曲折あり、一旦会社は解散し別々の道を歩むことになったのだが、2人でやっていた小さな会社をシンママの彼女は子供を育てていくという使命と共に、株式登記ができるまでの会社に育て上げていた。

”おめでとう!”

これが率直な気持ちで、本当に嬉しかった。

『二人でやってた会社、もっとちゃんと会社として確立したいからもどってこない?こんなご時世だしリモートで全然仕事できるじゃん!』
と、思いもかけず、再就職のお話を頂いた。

ちょうどこのままフリーランスとしてWebデザインの仕事をやっていけるのかどうか(本当にやりたかったのはデザインの仕事なのにデザインの仕事はAIに奪われ、コーディングもするにはするが、新しいシステムについて行けるか)不安しかなかった私の心の隙を埋めるがごとく、彼女の誘いは悪魔的に魅力だった。

仕事の内容は詳しくは書けないが、彼女は仲の良い別会社の仲間も誘って、私も会社の役員にし、新事業をあれこれと練ろうとしている最中だった。
その仕事はとても新しく、今までの仕事は5%くらいしか役に立たないかもしれないが将来の事を考えると、やらない選択肢はなかった。

会社を大きくするために死にものぐるいで仕事をしてきた彼女を何年も見ていなかった私は、
旦那の稼ぎの傘のもとにぬくぬくと好きなように仕事をしてきた私は、


何もわかっていなかったのだ。
50手前で転職するということの大変さを。
50手前の人間がどれくらいの仕事効率を求められているのかを。

Web会議に出れば、知らないワードや知らないシステムの名前が飛び交い、
提案をすれば『求めてるのはそういうことじゃない』とダメ出しをされ、
必死で新規事業の勉強をしても、慣れている他の仲間についていけない。
とにかくスピードが早いのだ。タイムパフォーマンスについて行けない。

こりゃあ参った!10年前と同じ様に仕事できなくなってきたなあ・・・
年取るって怖いと初めて実感した。
目がかすむの老眼が酷くなったの、疲れが取れなくなったの、そういうゆっくりやってくる現実ではなく、おでこに【老化】というお札をいきなり貼りつけられた気がした。

そんなジタバタした月日は数ヶ月流れ、その日は突然やってきた。

『あのさぁ、仕事やる気ある?めちゃくちゃ仕事の効率悪いんだけど』

定例会議中に怒られた、というか怒鳴られた。
社長にしてみれば突然キレた訳ではなく、育てるつもりで見ていた私がことのほか仕事が遅いことに爆発したのだ。
これは自分でもなんとなくしか気がついていなかった。いや見ないようにしていたのか。

『すみません』

しか言えない自分に嫌気が差した。
恥ずかしかったがそれしか言葉が出てこなかった。

社長的には仕事誘ったのが悪かったのかもしれない、本当はやりたくないのにやりたくないと言わせられないようにしてしまったんじゃないか?
と相当心配だったらしい。ここ数ヶ月見てきて私の仕事ぶりが不安で仕方がなかったんだそうな。

やりたくないわけじゃない、誘ってもらったのは本当に嬉しかったが、逆に社長が数年前に会社を解散したことで私に気を使って、仕事できないのに使ってくれてるんじゃ申し訳ない。と思いの丈を振り絞って精一杯伝えてみた。
だけど社長は数ヶ月前から”更年期で体だるい〜”みたいな話を私がしていたのをずっと気にしていたようで

『ずっと様子がおかしかった、精神的にヤバいんじゃないか』と。

確かに今年に入って、尋常じゃない汗をかく。
今年の夏はいつにもまして暑かったが、暑くない場所でも私一人汗をかいているような日常だった。ただ汗が酷い更年期だと思っていた。
確かに汗を大量に常時かくと体力が奪われ、非常に疲れる。

社長に言われ、嘘みたいだがハッとした。ほんと嘘みたいに突然に。
仕事していても集中が続かないのだ。気が散るといったほうがいいか。
一つのことに集中できず、あちこちに手を出してしまう。
で、一通り気が散るのを繰り返すとまた元の位置に戻っては来る。
でもとても時間がかかる。
マンガで仕事している時の様子を表現するならば、仕事内容のイメージの上に鉛筆でガーーーーーっと塗りつぶされているような構図。

靄がかかったように、集中できない

あと眠りが浅い。
これもそんな大したことじゃないと思っていた。
ちゃんと寝られても、起きた瞬間(目を覚ました瞬間)にいろんな考えが洪水のように流れ込んできて、考えに押しつぶされそうになる。
考えても仕方ないことや、他愛もないことで頭がフルスロットルになってしまうのだ。
だけどブレーキはちゃんと踏んでいる。ブレーキ踏めているからまともだと思っていたのだが、アクセルとブレーキをいつもベタ踏みの状態という異常事態だった。


ZOOM会議中に思わず号泣し出してしまった。
今までただ歳のせいだと思っていた【できないこと】の異常さに気がついてしまった。
こうなるともう止まらない。
最近ドラマも1時間見ていられない。すぐ飽きてしまうのだ。
好きで見ているはずなのに、1時間のドラマを数日掛けないと見切らないのだ。


何だ
私、何もできていないじゃないか。
ふと仕事部屋の中を見渡すと、片付けようと思っていたものがド山積みになっていることに気がついた。そういえば仕事が忙しいと言って片付けをずっと後回しにしていた。(掃除はしてた)
元々得意ではなかったが、”片付ける”という行為がちゃんとできなくなっていたのだ。

これは後から気がついたのだが、いつも同じ場所にしまっていた色んな物がなくなっていることに気がついた。と言うか、なくなっているのではない、
片付けられていない為に ”そこにない” のだ。


これ、もしかして更年期鬱か?

気がついちゃった、ヤバい。
死にゃしないけど、死にそう。

これ書いてられる時点で死なないけどね(笑


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