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ふきの佃煮を偲ぶ

昭和の時代。

近所に絶品のふきの佃煮を作るおばあちゃんがいた。

誰もが唸るくらい

それはとても美味しかった。

こってり甘辛く味付けされたふきの色は真っ黒。

炊き立てご飯にのっけても

お茶漬けのお供にもよく合った。

大人も子供も喜んで食べた。

その味が口コミで広がり

注文出来るようなった。

みんなが喜んだ。

おばあちゃんの家族以外は。

採算度外視の価格設定だった。

手間ひまだけでなく

材料費もかさんでいたらしい。

真っ黒にする為に刺身しょうゆを使う。

照りには水あめも加える。

昆布もいいものを使っていただろう。

「お嫁さんが嫌がるから」

おばあちゃんは注文を受けなくなった。

購入者が適正価格を知っていたなら

見合うだけの対価を支払っていたなら

結果は変わっていたのだろうか。


おばあちゃんはもうこの世にいない。

あの味を受け継いだ人もいない。

伝統の味が途絶えた。

幻となってから気づく人々。

いつか再現できるだろうか?

たかみのばあちゃんの味が恋しい。





クックパッドで、味の再現ができそうなレシピを見つけた。

最後に水あめを加えるときの醤油を九州の刺身醤油や再仕込醤油にすれば、近い味になるような気がする。昔、自宅で醤油を作っていた頃の時代は、
熟成が進んで真っ黒になった醤油を佃煮に使っていたのかもしれないと想像している。

昆布はたっぷり入っていたので、一番だしをとった後の昆布を切手大に切り揃えて加えていたのかもしれない。唐辛子は入ってなかったと思う。



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