87. 残さなくても。

今週、写真をいっぱい消した。

特に何かを忘れたかったとかではなくて、Googleフォトの自動バックアップをオンにしてたらいつの間にかGoogleの容量がなくなってて、メール受信ができなくなってたから。正直メールなんて普段全然開かないけど、いざ受け取れなくなったら急に重要な何かを受け取りそびれてるんじゃないかと不安になって、iPhoneから同期された1万枚以上の写真をいちいちクリックして消す、という途方もない作業をした。

とにかくいろんな写真が入ってた。フォトジェニックな観光地から、机の上の晩ごはんまで。いつの何か思い出せない領収書とかも。

私は比較的写真をよく撮るタイプだと思う。なんというか、残したいんだよね。旅行先でもふとした日常シーンでも、その時、その瞬間にしか味わえない空気感とかを、後からまた確かめられるようにしておきたい。あの時間や空間は確かに存在してたよなって、未来の自分を安心させたい。
上京直後は特に、特におしゃれでもない、ただのごはんの写真が多かった。これはね、ちゃんと東京でごはん食べてるよって親に送るために撮ってたんだよね。あと実家にあったものを東京で見つけたときとか、一人暮らししてる家の近くで、綺麗だと思った景色とか。1人で上京して、心細くてきっと、いま自分が見てるものを誰かにも一緒に見てて欲しかったんだよな。

そう思うと最近は、あまり写真を撮らなくなった気がする。
東京には誰もいない、と思わなくなったのかもしれない。離れた誰かにいつも共有していなくても、あとで確認できるように残さなくても、ちゃんと自分の目で見たものが自分の中で受け止められるようになってきたような。そんな感じ。

今日、部屋の窓から見た空は、あまり雨降ってる顔じゃなかったけど、よく目を凝らしたらずっとポツポツ雨降りな1日でした。でもどよんと暗い雨じゃなくて、時々明るくて、軽快な感じの雨粒。そういう雨は嫌いじゃないな、と思いました。