運動療法について語ろう回~MMTとエクササイズ~
よくあるパターンの臨床推論に対する疑問
よく思うわけです。
股関節外転MMT2~3、歩容はトレンデレンブルグときたら、中殿筋の筋力低下だ!ということで中殿筋エクササイズをバンバンするパターン。
個人的にはえ~って感じなんです。
もちろんTHAとかORIFとか侵襲部位が股関節で創部もガッツリ中殿筋直上に入っているなら納得なんです。
でも、そうじゃない場合、上記のような判断に至るのは早すぎるのではないか、というつぶやきが今回のテーマです。
MMTという名の動作パターン評価
ご存じの通り、これは股関節外転MMTの肢位です。
この肢位から得られる評価結果は果たして正確なものでしょうか?
臨床をある程度されている方なら、即答でNOといえるでしょう。
これって骨盤のアライメント無視してるし、仮にこれで評価を行っても、この方は力を発揮しにくいでしょう。
環境調整によって発揮できる筋力はかなり違います。
まず環境一つで発揮できる筋力が変わるということです。
あくまで動作パターン
仮に環境調整をしっかりしたとして評価結果がMMT2~3だった場合、これは「側臥位の状態での股関節外転運動への抵抗には2~3程度の力を発揮することが出来ますよ」程度の評価になるのです。
一つだけの筋肉が作用するということはない
結局何が言いたいかというと、側臥位での股関節外転運動を行う際には股関節外転筋と呼ばれる中殿筋だけでなく、小殿筋や大腿筋膜張筋、大殿筋、知腹筋、脊柱起立筋など様々な筋肉が関連して動いているということです。
MMTの結果なんて一瞬で変わる
先ほどの活動筋をちょっと列挙しただけでも体のいたるところが関わりあって股関節外転運動を行っているということがお分かりいただけたと思います。
その逆の発想で、例えば腹筋が弱化している人は股関節外転運動がしにくいのです。
つまり、腹筋を促通するようなエクササイズを混ぜると股関節外転MMTの評価は一瞬で変わる現象を高確率で目の当たりにします。
惑わされないことと思いこまないこと
僕のかつての上司が「現象を捉えろ」とよく口にしていました。
教科書を当てはめるなということと、その人の体から、なぜその現象が起きているかを評価しろということでした。
今でもその言葉は僕の中でも大切な言葉です。
つねにニュートラルな考えでいることと、現象を俯瞰してみること。
意外と出来ているようで難しいものです。
アウターばっかり鍛えるのはいかがなものか
これって当たり前だと思っているあなた。
意外と自分がやっているかもしれませんよ。
肩関節は球関節で腱板のトレーニング、いわゆるインナーマッスルのトレーニングをしてからダイナミックな動きを行っていくパターンが多いです。
一方股関節では・・・
先ほど疑問を口にしたように、股関節外転MMT2~3とトレンデレンブルグで中殿筋筋力低下という推論のもと、股関節外転筋トレーニングという運動処方をした場合。
インナー無視でいいのかなって思いません?
股関節も球関節で肩関節とさほど変わらないのに
安易な運動処方ほど矛盾に包まれやすくなり評価と結果が結びつきにくくなります。
原理原則を捉えて動作パターンを見抜くこと
このテーマをいつも自分に言い聞かせています。
つまり大切なことは現象を捉えることであって、股関節外転MMT2~3でトレンデレンブルグが出てしまう原因は股関節の筋肉だけでなく、体幹の問題化もしれませんし、脊柱の構造的な問題かもしれません。
生活面から仕事で履いている靴の影響かもしれません。
足部のアライメントによるものかもしれません。
自分なりの臨床哲学、めちゃくちゃ大切です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?