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からくりとすり合わせの技

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愛知ものづくり産業史 機械産業編
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#自動車

からくりとすり合わせの技⑥ 国産技術の確立

からくりとすり合わせの技⑥ 国産技術の確立

戦前、愛知県下にまかれた重工業の種(工作機械、航空機、“車”)は、戦後の復興期(昭和20年代)を経て高度経済成長期(同30年代)に開花する。そして同39年に、地域唯一の銑鉄一貫製鉄所・東海製鉄(現日本製鉄名古屋製鉄所。東海市)が設立されると、これを追い風に同40年代以降さらなる成長をとげていく。

このうち著しい成長をとげたのが“車”である。昭和30年代、モータリゼーション化が進んで国内の自動車産

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からくりとすり合わせの技④ 重工業化の進展(祖業の活用)

からくりとすり合わせの技④ 重工業化の進展(祖業の活用)

日清戦争(明治27~28年)や日露戦争(同37~38年)を経て、政府は軍備拡張のために国内産業構造の転換(軽工業から重工業へ)を図り、民間重工業の成長をうながした。これを受けて愛知県下で創業した機械各社は、祖業の経験を活かして、今日の愛知ものづくり産業に直接つながる三つの製品を実用化した。

一つ目は工作機械。陸軍の要請を受けた大隈麺機商会は、明治37年に旋盤の生産を開始する。以後、陸軍向けの旋

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