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最近見た展覧会

「元永定正の写真」展@Third Gallery Aya

1993年にブレンセンターギャラリー(?)で展示された作品の30年ぶりの公開で、2種類の方法で制作された作品が並んでいる。ギャラリーのインスタに掲載されているのは56年にすでに作られていたものの再制作で、たばこの銀紙を切り抜いたり、裏の白い紙を剥がしたりして、それをフィルムの代わりに引き伸ばし機に入れて印刷してある。剥がしたところはグレートーンが出る。もうひとつはポジフィルムにマジックや絵の具で形を描いたり、カミソリで削ったりしてプリントしたもの。写真が映っているフィルムを使ったものもあって、シュールな感じがする。
元永定正は最初の頃は石ころとか拾ったものを使ったオブジェを作っていたり、スケッチとか用の小さなメモを常に持ち歩いていたらしいけど、せいぜい数センチのこういう細かい作業をして作品を作っていたというのは意外だった。『Jodo Journal 4』に↓の展覧会についてのインタビュー記事が載っているのでよろしくお願いします。


「Re: スタートライン 1963-1970/2023 現代美術の動向展シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係」@京都国立近代美術館

赤瀬川原平《大日本零円札》

近美の会館から7年間行われた、「現代美術の動向」展シリーズを振り返る展覧会。3階の円環を回って、タブローからハプニングまで、現物展示から再制作まで。カタログの資料がかなり充実していた。造本も糸とじだったり、色んな種類の紙を使って、さらに当時のチケットや記事の複製まで挟まっていて異常に豪華。この展覧会についてはおいおい詳しく書く予定。

※詳しく書いた記事がこちら→https://www.ameet.jp/feature/4729/#page2

4階コレクション展の赤瀬川&デュシャンコーナーがよかった。
ところで「共感関係」ってなに。

ボク ノ シュルレアリスム 北尾 博史個展 @KunstArzt

↑これはダリの宇宙象。かわいい。原画というか、ダリのイメージでは、ゾウ本人の脚が細長ぁく伸びているのだが、ここでは普通のぞうさんが装具を着用している。これもそうだし、動物が車輪の代わりにくくりつけられた車など、補綴をイメージする。斜め上をむいたリンカーンの絵がついた拍子を入れると、ひとつの目に見つめられているように感じるブックカバーとか、マグリットの卵を見ながら鳥の絵を描いている人の絵の卵を鳥かごに入れたオブジェなど、コンセプトが面白かった。

木村和平 「石と桃」@PURPLE

不思議の国のアリス症候群をテーマにした写真の個展。引用した写真は上下反対の向きで展示されていて、それがいいと思った。ギャラリー奥の壁に、中央にまっすぐ縦線の入った写真が架けられていて、左右の壁の中央にはそれぞれお下げの少女の大判の写真がある。すごく小さな写真や、低い位置に架けられた作品は、見る人の体を透明な目にしてはおかない。写真が感覚を伝えると思えるとき、それはどういうことなのだろう。

Slow Culture @ 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

鈴木祥太《白花蒲公英―都市の養分―》

工芸の要素のある制作をしている作家の展示。展示室の空間も作家が作っていて、BGMも流れているインスタレーション風の作品展。現代の作家の作品ってなんとなく技術、技工の部分を抜きに見てしまいがちだけど、こんな風に集められることでもう一度そっちに目が行くと思った。目録兼パンフレットのようなのは置いてあるんだけど、QRコードからより詳しい作家紹介etcにアクセスできるのだけど、PDFならまだいいんだけど、それがウェブサイトになっているのでどっか行っちゃうし保存もしづらい…。


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