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AKG K371-Y3 【2024/6/10追記 イヤーパッド交換】

今回は最近導入したヘッドフォン、AKG K371-Y3をご紹介。ヘッドフォンを買うのは4〜5年ぶり、密閉型に限って言えば10年ぶりくらいですね。密閉型でここ10年くらい愛用しているのはJVC HA-MX10-B(以前のレポートはコチラ)。今回のK371は発売直後に試聴していいなと思っていたものの、ヘッドフォンはたくさん持ってるし、使用頻度も低いので特に必要性はないかなと思ってスルーしていたのですが、どうやらこのK371はもうディスコンで、いまはBluetooth搭載のK371-BT-Y3に集約されてしまってるようなんですね。なので、新品買おうと思ったら流通在庫のみ。価格差は6〜7千円くらい(このK371は1.2万円ほど)あるし、僕は自宅スタジオか出張録音の時しか使わないのでBTはいらないなと。なので、在庫あるうちに思い切って買ってしまったのでした(笑)。

先に言ってしまいますが、めちゃくちゃ「使える」ヘッドフォンでお気に入りです!どこが気に入ったのかをお伝えすると共に、付属してるケーブル3種で音が違うのかなど、他社のケーブルも含めてチェックしていこうと思います。

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◉音質

周波数バランス的にとても整っていて、まったく違和感がありません。僕は自分の基準となる音がハッキリしてるので、店頭で試聴して数秒で「自分にとって使える音かどうか」が判断できます。その点では、初めて試聴した時から合格でしたね(笑)。最近、輸入元であるヒビノの開発者インタビュー記事で知ったのですが、どうやら長年の研究の末に見つけ出したハーマンカーブなる周波数特性カーブがあるようで、このK371とK361がそれを最も忠実に再現しているモデルとなるそうです。道理でバランス良いハズだ(笑)。

特筆すべき点は、超低域の見えやすさですね。それなりにサイズの大きなスピーカーでないと再生できない、振幅の揺らぎが分かるくらいの低域がよく聴き取れます!これは自宅スタジオの強い見方ですね。音楽制作時のローのチェックはもちろん、MAなどでも不要な超低域の処理をするのにとても役に立ちます。とは言っても、決して出過ぎているわけではないのでご安心を(笑)。

解像度的には必要十分といった感じですかね。この点はYAMAHA HPH-MT8の方が有利かな。あれもすごく良いヘッドフォンでずっと気にはなってるんですが、僕の用途にはK371の方が合ってますね。

鳴りとしてはとても近い音で、音場的にも過度な広がり感がなくとてもタイトです。この点は歴代のAKGヘッドフォンとは違う、新世代AKGといった印象ですね。ちなみに僕は、昔はAKG好きで、いまでもいくつか所有してます。

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右からK240S(半密閉型。最初期のオーストリア製)、K271S(密閉型)、K612 Pro(開放型)、そしてK371。K240Sは現在でも販売されてますが、中国製になり音が変わってしまったように感じてます。とにかく、僕がいままで使ってきたAKGヘッドフォンには、「音が少し遠くて広がり感がある」「高域に独特のキャラがある」「中域が少し凹み気味」など、どれにも共通した特徴があってそれが魅力でもあり、けど使いづらいなと思って戦線離脱させた理由でもあるんですが、最新のK371はそういう気になってた部分がすべて解消されたような感じで、個人的には大歓迎ですね!ちなみにK371の末尾に「Y3」と付くものは、輸入元であるヒビノ独自の3年保証を意味してるそうです。安心感がありますね♪

ここまで読むと完璧なのかと思われるかもしれませんが、完璧なものなど存在しないのが世の常。かなりタイトかつドライな鳴りなので色気のようなものはないです。特に高域側の鳴りは比較的大人しいので、空気感のようなものはあまり感じられません。この特性は録音時のモニターやノイズチェックなど、冷静にな判断が求められる用途には適しているので、そういうのが欲しい人にはかなりオススメです!もちろんリスニングに使うのも良いと思いますが、オーケストラなどのクラシック系よりは低域が入っている今時の音楽の方が合ってるかもしれませんね。

余談ですが、兄弟モデルのK361の方がリスニングには向いてるかなと思いました。あちらの方が少しナローレンジですが出音のまとまりも良く、かつてのAKGの鳴りっぷりを僅かに残していて印象でした。BTなしモデルは、同じくディスコンのようです。

◉装着感

SONY MDR-900STなどと比べるとほんの少し重いですが、こK371を重いと感じる人はあまりいないと思います(笑)。イヤーパッドは低反発素材でフィット感が良く、頭頂部はサラサラとしたシリコンのような手触りで適度なクッション性があり、数時間つけっぱなしでも耳や頭頂部が痛くなることがありませんでした。ただし、装着するとき耳周りに隙間ができると低域が抜けてしまって、前述のような素晴らしい低域特性が発揮されませんのでご注意ください!僕の場合、900STやMX10のアジャスターの目盛りは「3」か「4」あたりでちょうどいいんですが、K371では下から2段目がベストでした。最初は3〜4段引き出したところで使ってみたんですが、装着角度などで低音が抜けてしまって鳴りが安定しなかったです。

そのアジャスターですが、構造的に貧弱なので、何度も伸縮させているとすり減ってガバガバになってしまいそうで恐いですね(汗)。そして、目盛りがないので、左右で長さを合わせるのが面倒なので、その点の使い勝手はなんとかして欲しいです。

◉ケーブルによる音の違い

K371には3種類のケーブルが付属しています。今回はその3つと、10年以上前に買ってK271Sで使っていたOYAIDEのヘッドフォンケーブル、そしてK271Sに付属していたケーブル(18年前くらいのもの)の5種類を聴き比べてみました。

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一番上がK371付属のカールケーブル(3m)、下段真ん中の2本が付属のストレートケーブル(左:3m  右:1.2m)。下段一番左がOYAIDE HPC-62(2.5m)、一番右がK271S付属のストレート(3m)。オーディオI/Fの2つのヘッドフォンジャックを同じ音量にしてAB比較検証した結果、すべて音が違いました(笑)。

▼付属ストレートケーブル(3m)

一番最初に試したのがコレ。僕はデスク周りに複数の鍵盤を配置してることもあって移動範囲が広く、3mくらいないと困るからです。けど、なんだかしっくり来ない……。ボーカルなど声の音像が小さく、左右の広がりもなんだか居心地が悪い。なんか中域の低いところがすっぽり抜けてるような感じなんですね。2、3日使い続けたんですがどうにも慣れず、店頭で試聴したときこんなだったかな?と思ったり(苦笑)。そこで1.2mのストレートを試してみることに。

▼付属ストレートケーブル(1.2m)

替えた途端に違いを感じますね(笑)。中高域以上の存在感が増してクリアな感じになると同時にトランジェントが良くなったような感じもします。3mの時に感じた中低域あたりの凹みも気にならなくなりました。ただ、ほんのちょっと耳に痛いかな。長時間聴いていたら疲れる音です。その代わり、鮮明度はダントツ!

▼付属カールケーブル(3m)

僕は基本的にカールケーブルがあまり好きではなく、これまで避けてきました。重たいという理由もありますが、何よりも音が鈍る傾向にあるからです。上記のストレートケーブルの長さ違いによる音の変化からも分かる通り、ケーブルは長くなるほど伝達ロスが発生するのか、高域側が弱くなっていきます。ただ、このK371に関しては、なにげにこのカールケーブルが一番バランスが良いと思いました(笑)。耳に痛くない中高域、太い中低域で、ストレートで不満だったところが解消されます。開発時はこのカールケーブルの使用を想定して単じゃないかと思うくらい(笑)。僕が試聴した店頭デモ機もこれを使ってたんじゃないかな?付属の3本の中で一番疲れなかったのはコレですね。ただ、1.2mの鮮明度を聴いてしまうと、ちょっと寂しいかな……という気もしないではないです(苦笑)。

▼K271S付属ストレートケーブル(3m)

形状的に見てもK371付属のものと同じです。導体も普通のOFCで同じですが、当時と現在で同じものを使ってるかは不明。音は、やはりとてもよく似てますが、こちらの方がややマイルドで耳馴染みが良い気がしますね。この辺は長年のエージングが関係してるのかもしれません。

▼OYAIDE HPC-62(2.5m)

これも古いもので、10年以上は余裕で経ってますね。導体はPCOCC-Aで、今回の中では最もハイグレード。肝心の音ですが、うん、これが一番バランス良い!付属ケーブルの良いところを全部合わせた感じ(笑)。使い慣れた長さだし、しばらくはコレを使っていこうかなと思ってます♪ ちなみにPCOCC-Aという導体はもう作られていないので、現行モデルは102 SSCというオヤイデ独自の導体になってるハズ。音も多分違うと思います(未確認)。

◉最後に

という感じで、K371のレビューは以上です。録音モニターにもミックスチェックにも使えるので、個人的にはとても気に入りました♪ これで実売1.2万はコスパ最強だなと。とは言え、広がり感や高域の開放感は長年愛用のMX10に一日の長ありなので、これからも併用していきます!あと、K371にはキャリングポーチも付属してるんですが、これがなかなか良いんですよ。

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何が良いかって、表面の材質が化学繊維なところ(笑)。この手のポーチってビニール系の素材のが多かったりしますが、あれはヘッドフォンのパッドと同じで経年劣化により表面がボロボロと崩れてきたり、手に張り付いたりするんですよね。使いたい時に使えないという経験を何度もしてるので、このポーチも個人的にポイント高いです(笑)。


◉サードパーティ製イヤーパッドに交換

純正のイヤーパッドが経年劣化でボロボロになってきて、指などに剥がれた表皮がくっついて不快なので交換することに。また純正のものでも良かったんだけど、同様の劣化は必ず起こるので、今回は起毛素材のものがいいなと思い、DEKONI AUDIOの製品を試してみることに。

AKG K371, K361用チョイス・スエード

AKG K371, K361に対応した製品は4種類

  • チョイス・レザー

  • チョイス・スエード

  • エリート・ベロア

  • エリート・シープスキン

今回はチョイス・スエードにしてみたんですが、これが大正解❣️実は、DEKONI AUDIOの本国サイトには純正パッド(海外ではストック・パッドと言うらしい)とDEKONI製品の周波数特性を比較したグラフが掲載されているので、これが非常に役に立ちました。

チョイス・スエード装着時の周波数特性

これを見ても分かる通り、あまり大きな変化がないのが決め手でしたね。他のものはどれも低域が大きく膨らむように作られているようで、純正のバランスが気に入ってた僕は、もうチョイス・スエード一択だったというわけです。

エリート・ベロア装着時の周波数特性

実際の音の変化ですが、厳密なAB比較が不可能なので、印象レベルの話になりますが、ほぼ変わらないですね。厳密に言えば違いはあるんだろうけど、無視できる範囲かと。実は、10年近く前にJVC HA-MX10-BのためにDEKONIの900ST用(サイズが同じなので流用可能)のベロアを買ったことあるんですが、純正よりも厚みがあるせいか大きく音が変わってしまい、秒で純正を買い直した経験があったので少し心配だったんですが、今回は満足のいく結果となりました♪ ちなみに装着感も大きく変わらず、むしろ快適になった気がするので、ユーザーの方は交換時の参考にしていただければと😁

※リケーブル&パッド交換後の音については新規で投稿したので、気になる方は是非♪

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