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広告業界の世界的コンペ、 ヤングカンヌ日本代表になった 2人のエンジニアの現在地

メンバーひとりひとりの個性や強みを引き出し、掛け合わせる「Independent, Together」というカルチャースローガンを掲げるクリエイティブエージェンシー『monopo』。
今まであまり表には出てこなかったメンバーそれぞれのバックボーンや仕事観を、インタビュー形式で紹介する企画を始めました。
第2回目に登場するのは、クリエイティブの世界的コンペティション『ヤングカンヌ』を勝ち抜き、日本代表に選ばれた高橋健太と堂福大成。
共にエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、活躍の場を広げている2人に、広告の仕事で求められるスキルや、monopoに入ってからの変化、これからの働き方などについて聞きました。

Profile(写真左)
高橋健太 Engineer/Producer
1991年 群馬生まれ。早稲田大学中退。最近はWeb3.0に夢中。
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https://twitter.com/tkhshknt

Profile(写真右)
モネシンス 堂福  Engineer
1997年 東京生まれ。大学在学時に船舶免許教習所向け顧客管理アプリを開発・リリース。2019年monopo入社。社内DXチームに所属しDXツールの開発を行う傍ら、クライアントワークではWeb領域の表現をメインに、エンジニアとしてバックエンドからフロントエンドまで幅広く手がけている。
https://twitter.com/mdofuku

クリエイティブのコンペで問われる企画とプレゼンの力

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―最初に高橋さんと堂福さんのお仕事について教えてください。

高橋:僕はプロデューサーとテクニカルディレクターという2つの仕事をしています。クライアントさんとプロジェクトを作り、予算を決めて、それに対してベストなチームを組んでコンプリートするところまでを見るポジションですね。今はグローバルチームにいるので、海外のプロジェクトを担当したり、monopoを外国に売り出していく仕事が中心になっています。

堂福:僕はwebエンジニアとして、クリエイティブを強化していくチームに所属しています。最初はサービス系のエンジニアをしていたんですけど、だんだんとクリエイティブ系のエンジニアに興味が湧いてきて。今は新しい技術を取り入れてDXを進めたり、アニメーションを作ったりしています。
うちの会社にはエンジニアだけどデザインをやったり、プロデューサーをやったりと職域を跨いだ働き方をしている人が多いんですよね。そういう影響を受けて、コンペにも出るようになりました。

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―おふたりは去年、広告業界の世界的なコンペティションである『ヤングライオンズコンペティション(通称:ヤングカンヌ)』のメディア部門で日本代表に選ばれたんですよね。

高橋:そうなんですよ。ヤングカンヌというのは、1954年に設立された世界最大規模の広告・コミュニケーションフェスティバル『カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル』の若手版になります。
広告業界で働いていて、30歳以下なら誰でも出場できる大会で、お笑いでいうM-1みたいな感じですね。そこで勝つとめちゃくちゃ売れるっていう。

―広告業界でスターダムに駆け上がることができるコンペティションなんですね。

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高橋:僕は入社してからずっと別の人と組んでヤングカンヌに出てたんですけど、今年はちょっと相方を変えてみようかなと思って。30歳になる前のラストイヤーだったので、今までの経験を誰かに伝えておこうという気持ちもあって、若手の堂福を誘ったんです。

―相方を変えてチャレンジしたり、ラストイヤーがあるというのもM-1っぽいですね(笑)。今年はどんな作品でエントリーしたんですか?

高橋:ヤングカンヌは、お題があって、それにいかにして応えるかというアイデアバトルなんです。去年のお題は「孤独」でした。コロナの影響で人と会いにくくなり、孤独を感じている人が増えているという課題をどのように解決するか。そのアイデアを競ったんです。

堂福:僕らは「孤独ワクチン」というのをキャッチフレーズにして、アイデアを作っていきました。孤独って人には言いにくいじゃないですか。その理由を考えたときに、自分だけが孤独を感じてるような気がするからなんじゃないかなと思って。その意識を転換させられたら、人にも伝えやすくなるかもしれないと考えたんです。

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―「孤独に対する意識の転換」ですか?

堂福:はい。どういうことかというと、自分が孤独を感じていると言葉にするのではなく、「孤独を感じたときには、こうやって解消してるよ」というティップスを共有しようと。
例えば、僕だったら卓球が好きなのでスポーツで気分転換をしています。本を読むでもいいし、音楽を聴くでもいいし、人によっていろんな解消方法があるはずだから、それをアイテムに落とし込んで「孤独ワクチン」と名付ける。そうやっていろんな人の孤独ワクチンを集めて、ECサイト上に掲載することで、人や企業を巻き込んで世の中に広げていくというアイデアを考えました。

高橋:実際のプレゼンは5分しか時間がないので、今みたいな説明をコンパクトに伝えるテクニックも問われるんですよ。アイデアには一目でわかるとか、一言で伝わるみたいなインパクトが必要なので。普段の仕事でもそうですけど、いいアイデアって説明がいらないんですよね。
企画というのはビジュアルにするか、言葉にするかでしか伝えられません。だから、広告の仕事をする上ではクリエイティブもプレゼンも大事なんです。今回で言えば、僕がコンセプトを考えている間に、堂福が一瞬でサイトを作ってくれて。実際にドメインもとって、ネット上で孤独ワクチンが並ぶECサイトを見せられるようにしました。

エンジニアになろうと思った二人の転機

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―monopoに入社する前の学生時代、高橋さんは宿泊事業で起業を、堂福さんは船舶免許教習所向けのアプリを開発されていたと伺いました。おふたりとも、もともとは自分で会社や仕事を作っていこうという意識があったんですか?

高橋:あー、そういう意識はちょっとあったかも。っていうか、今もありますね。

堂福:僕も同じです。

高橋:学生の頃は、漠然と起業に興味があったんですよ。早稲田の国際教養学部ってところに通ってて、いろんなジャンルを幅広く勉強してたんですけど、将来的にやりたいことがあんまりなくて。学校も好きじゃなかったので、社会に出て何かやってみたかったんですよね。
ただ、宿泊事業も別に自分のやりたいことってわけではなく、学生向けの起業プログラムに応募してやり始めたものでした。仲間と一緒に1年くらいやってたんですけど、結局は続かなくて。やっぱり自分が好きなことじゃないと続かないというのが、実際にやってみてわかりました。

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―そこからmonopoに入るまでには、どんな経緯があったんですか?

高橋:大学でいろんな起業家さんの話を聞ける授業があって。そこに『ライゾマティクス』の齋藤精一さんが、講師で来てたんですよね。ライゾマティクスって、ちょっと表現活動っぽいことをやってるじゃないですか。そういう話を聞いて、「こういうのってビジネスなるんだ!」と思ったんです。それがすごく新鮮で、自分もそういう仕事をしたいと思うようになりました。
そのときに、たまたまmonopoで働いてた大学の同級生がいて、話を聞いてみたら面白そうだったんですよね。それで「働かせてください」って連絡をして、最初はインターンとしてmonopoに入りました。

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―堂福さんが、船舶免許教習所向けのアプリを作ったきっかけは何だったのでしょうか?

堂福:実家が船舶免許の教習所なんですよ。なので小さい頃から両親の仕事を見てたんですけど、子どもながらに「もっとこうしたらいいのに」と思うことがあって。それで、いろいろと調べながら事務作業を効率化させるようなアプリを作りました。
そうやってweb開発の勉強をしていたら、エンジニアの仕事ってすごく奥が深くて。大学は経済学部だったんですけど、在学中の時間をほとんどエンジニアリングの勉強に費やしました。

―ずっと独学でエンジニアの勉強をしてたってことですか?

堂福:基本的にはそうですね。webエンジニア系のインターンにも行ったりはしましたけど。
当時、僕の興味はエンジニア、クリエイティブ、英語という3つの領域だったんですよ。それを全部満たしてくれる環境って、自分が探した範囲ではmonopoしかなくて。それで、最初はインターン生としてmonopoに入りました。

個人の力を発揮するため、常に外にも目を向ける

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―インターンでmonopoに入ったときのことは覚えてますか?

高橋:もう6年くらい前ですけど覚えてますね。最初は、ただ会社に行って仕事するってだけで楽しくて。業務内容がどうこうっていうより、今までずっと向かう先がなかったので、とにかく何かをしたかったんですよ。

―あー、なるほど。真剣に打ち込めるものを求めてたんですね。

高橋:それを見つけたって感覚がありましたね。だから、毎日仕事をしているだけで楽しかったです。

―今は仕事のどんなところに楽しさを感じていますか?

高橋:何かをプロデュースする前に、未来のことを考えて「こうなったらいいな」というイメージを思い描くんですよ。そのイメージをちゃんと形にするためにはどんなメンバーが必要で、どういうアウトプットすればいいのかを考えながら仕事を進めていくので、ちゃんと自分でやってる実感を持てるのが楽しいですね。
プロデューサーの仕事は、いろんな人と会えたり、プロジェクトに誘ったりできるから、みんなで仕事を進めてるって実感もあって。そういう楽しさもありますね。

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高橋:ただ、今はmonopoのプロデューサーじゃないですか。それに対して、「このなかだけで、いいんだっけ?」って思うこともあるんですよ。僕としてはやっぱり仕事の範囲をどんどん広げていきたいし、もっといろんな人に会いたいと思っているので。

―それはmonopoという範囲を飛び出してという意味ですか?

高橋:どっちもですね。monopoとしては、今やっているビジネスだけじゃなくてもいいと思ってて。急に建築とかやってもいいし。そういう広げ方はまだまだあるなと思います。
個人としては、もちろんmonopoの仕事も一生懸命やりますけど、30%くらいは外を見ておきたいなと。だから、休みの日に突然、ルーマニアの医学部の入り方とか調べたりしてるんですよ。

―すごい飛躍(笑)。

高橋:まぁ、集中することも大事だけど「広く構えておく」っていうスタンスが、自分には合っているんです。

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―そう思うようになったきっかけに、ヤングカンヌで日本代表に選ばれたことは関係してますか? ひとつのゴールに辿り着いたというか。

高橋:いや、ヤングカンヌは、あんまり関係ないっすね。嬉しかったけど、「やったー!」って気持ちだけです。むしろ、それで終わらないようにしなきゃと思ってますね。ヤングカンヌを取ったからできることをやってくほうが大事ですから。やれることも広がったと思いますし。

堂福:健太さんって、いつもそういう考え方なんですよね。僕は与えられたなかで上を目指したり、突き詰めて究極に辿り着くことを考えるんですけど、健太さんはサッと上にいこうとするんですよ。悩み相談をしてても、思考をひとつ上のレイヤーに持っていくのが上手くて。
それどうやってやってるのかなって疑問だったんですけど、今の話聞いてて、外に目を向けたり、たくさんのことを知るみたいな姿勢が大事なのかもしれないなと思いました。

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―堂福さんはどうですか、monopoでの仕事は?

堂福:僕も楽しいですね。入ってみたら、すごく自由なんですよ。「そんなことしていいんだ」みたいな驚きも多くて。
インターンのときに、同期のメンバーが「VRのアプリを作りたいから『Oculus Go』を買いたい」って言ったら、社長が買ってくれて。そこから一緒にアプリを作ったり、イベントで発表したんですけど、そんなことをやってもいいんだって驚きました。

―与えられた業務だけでなく、自分で仕事を作ってもいいんだと。

堂福:そうそう。しかも、インターンでそんなことをしていいなんて思いもしなかったので。今いる部屋のテーブルも、実は卓球台と同じサイズになってるんですよ。だから、仕事中でも急に「卓球しようよ!」って誘われることもあって。そういうのもビックリしましたね。
あとは仕事も任せてもらえるので、興味の範囲が広がりました。今はエンジニアの仕事をメインにしつつ、デザインの勉強をしたり、プランニングの仕事に挑戦しています。できることが増えてきたぶん、ひとつのことを突き詰めていくのか、それとも全体を伸ばしていくのかで悩んだりもするんですけど。

―エンジニアとしてのプロフェッショナルになっていくのか、高橋さんのようにいろんなジャンルを横断した働き方をしていくのかってことですか?

堂福:はい、そうですね。それと合わせて、事業をやるという道もまだあると思ってて。自分の事業だったり、monopoのなかでの新規事業だったりを。
自分の周りを見回してみると、事業も好きで、クリエイティブも好きなエンジニアってあまりいないんですよ。そういう特性は優位に働く可能性がありそうだから、上手いこと掛け合わせて仕事ができたらなと思っています。

高橋健太と堂福大成が思う「monopoらしさ」とは?

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―最後に、お二人が考える「monopoらしさ」について教えてください。

高橋:ああー、めっちゃむずいですね。僕は、「monopoらしい」とか「monopoっぽい」っていうのを、あんまり言わないようにしてるんですよ。そういう言葉でまとめちゃうと、「これが答えです」みたいになっちゃいそうなのが嫌で。
会社の雰囲気とかスタンスって、新しい人が入ってきたり、他との関係性によって変わるじゃないですか。だから、自分のなかでは、あんまりはっきりと定義しないようにしてます。そういう感覚を共有できるのが、monopoのいいところだとは思うんですけど。「monopoらしいとか、言わないほうがいいんじゃない」って普通に言えるところが。

―そういう意見も含めて、多様な理解があると。

高橋:そうですね。「絶対にこう」じゃなくて、「らしさも変わっていい」って感覚を共感できているところが、monopoらしいのかなって。ちょっとメタ的でむずいんですけど(笑)。

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堂福:僕が思う「monopoらしさ」は、ひとつあって。言葉にするとダサいんですけど、「本気」ってことかなと思います。すごく馬鹿馬鹿しいことにも本気になる人が多いんですよ。

―例えば、どんなことですか?

堂福:最近だと、ある人がタイピングのゲームをやってたんですよ。スコアが出るゲームなんですけど、それを見てた他の人たちが「自分もやる!」って言い出して。それがどんどん広がって、みんなめちゃくちゃ本気になってタイピングゲームをやり始めたんです。
そのうちに「この音楽を聴きながらやるとスコアが上がる」とか、「サウナの後にやったらめちゃくちゃ速くなった」という意見も飛び交って。みんなが本気で1位を取りにいくみたいなやりとりが1週間くらい続いたんです。

―それは白熱しそうですね(笑)。

堂福:最終的にはCOOの岡田さんが爆裂な数値を叩きだして、誰も何も言えない感じになってたんですよね。そうやって特に何にもならないようなことにも、みんなが本気になるっていう。そういうところが、僕はmonopoらしいと思うし、好きですね。

高橋:みんな熱中してる感じはあるよね。それぞれの好きな分野で。

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高橋:何かと真剣に向き合うときって、自分の力を最大限に発揮したいじゃないですか。1人でそこまで突き詰められることもあるんですけど、周りとの関わりもけっこう重要で。「ここだったら、自分の持てる力を最大限に発揮できる」という環境を持つことが、真剣に向き合うためには必要だと思うんですよね。
学生のときに僕が悩んでたのは、そういう状態になれる場所が見つからなかったからだなと。今、言語化してみると、そう思います。

堂福:周りの人からの影響は、確かに大きいですね。

高橋:monopoは「みんなそれぞれ持っている力を、楽しみながら自由に発揮できる環境を作る」というパーパスを掲げてるんですよ。それってすごくいいなと思って。個人個人がちゃんとパワーを発揮できる環境を作ってい行けたらいいですね。

執筆:阿部 光平 (https://twitter.com/Fu_HEY )
撮影:馬場雄介 Beyond the Lenz (https://www.instagram.com/yusukebaba)

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