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Designing for Touch – Engaging the Senses, a series by monopo

monopoのクリエイティブを人間の五感をキーワードにご紹介する「Designing for the human sense」。東京・ロンドン・ニューヨーク・パリのmonopoオフィスで携わったさまざまなプロジェクトを掘り下げ、人の感覚がどのようにクリエティブに作用しているかを考察していきます。第二回の今回は「触覚」です。液晶画面や印刷物を通してどのように触覚にまつわる感情を引き出すのか、体験してもらうのかを紐解いていきます。

シリーズ第一回はこちら


製品に触れずに着心地のよさをどう伝えるのか

UNIQLO AIRism 2023SS GLOBAL CAMPAGN

monopo TokyoではUNIQLOの「AIRism」2023SSグローバルキャンペーンにて、日本生まれの技術にて「究極の心地良さ」を誇る「AIRism」のグローバルな認知向上を狙い企画・制作しました。
主に動画アセットを制作したこの企画、もちろん動画視聴者は実際に製品を触ることはできません。動画によってどう心地よさを伝えるか、そしてアジア諸国に比べてインナーウェアを着る習慣が少ない地域からどうやって共感を得るかが課題でした。

まずは実際の動画をご覧ください。

どうですか?あのAIRismのさらさらとした着心地のよさを感じられたでしょうか?
両親が着ていたAIRismが大好きになった子供達。快適すぎてもう昔の下着には戻れないお父さん。AIRismの「究極の心地良さ」が家族に小さな幸せをもたらす風景を描くことで視聴者に自然な共感を呼び起こします。
私たちはAIRismの機能がもたらす心地よさが最終的にはAIRismへの愛着へと変化していく過程を全ての人が共感しやすい、ごく日常的な風景にて描きました。

このプロジェクトではこの究極の心地よさがどこからきているのかを伝えるフルCGによる動画も合わせて制作しています。

先ほどの動画とは一変してAIRism製品に速乾性やなめらかさといった機能が備わっていく工場のような世界で「究極の心地良さ」をもたらす機能にフォーカスしています。たくさんの機能がインストールされたものがAIRism製品であり、これらの機能が快適さをもたらしています、という理論的な面でのアプローチとなっています。
一部の地域ではTVCMとしても使用されたこちらの動画、フルCGですが実際の製品らしい風合いと質感の表現を追求しています。AIRism独特の質感が感じられたら幸いです。
この二種類の動画シリーズを通してAIRismに触れた時の感情と、その感情がどのような機能によってもたらされているのかという二方向からアプローチを試みたプロジェクトとなっています。

本プロジェクトについてはこちらからも詳しくご覧いただけます!


アイテムの質感をスタイリッシュに見せる

CFCL VOL.5 Collection - Presentation 

ふたつ目は3Dコンピュータープログラミングニットの技術を中核に置く日本発のアパレルブランド、CFCLです。monopo Tokyoでは2022年にパリ・コレクションで行われたプレゼンテーションと、そこで発表された最新コレクションを収めたコンセプトムービーを制作しました。
CFCLはClothing For Contemporary Life(現代生活のための衣服)を意味し、裁断を必要としないため、ゴミがほとんどでないコンピュータープログラミングニットをメインに展開しています。さらに再生素材や認証素材を選ぶことでより環境負荷の低い衣服の生産を行う、未来を考えた服作りを行っているブランドです。実際に環境や社会に配慮した公益性が高いと認められる企業に対し、厳しい審査を経て与えられる国際的認証、B Corporationを日本のアパレルブランドで初めて取得しました。

そのCFCLにとって初めてのフィジカルな場での発表となったプレゼンテーション。実際のコレクションアイテムだけではなく、服作りのフィロソフィーをも現地で見られなかった人にも届けることができるよう映像化したプロジェクトでした。ステディキャムによる浮遊するような撮影手法を取り入れることによって、無重力や宇宙を彷彿させるような演出を加え、可能性のある「資源」に覆われた⻘い銀河系”PLAnet”への旅を表現しています。

ここでは様々な表情を見せるCFCLのニットアイテムたちをディテールにフォーカスした映像として織り交ぜることで美しく表現しています。実際のプレゼンテーションの撮影と並行し、会場内の限られたスペースに組んだ小規模のセットで衣類のテクスチャーやデザイン細部にフォーカスした映像の撮影を行いました。CFCLの服が持つ表情の豊かさを感じ取ってもらえれば幸いです。


ジェネラティブアートを一冊の本の佇まいに

MERIDIAN BOOK DESIGN

最後にmonopo Londonからブックデザインのプロジェクトをご紹介します。

MERIDIANはジェネレラティブ・アーティストのMatt DesLauriers氏とのコラボレーションであり、同氏が2021年にプラットフォームArt Blocksで発表した同名のNFTシリーズをまとめたものです。
ジェネラティブアートであるということは、つまりこれらの作品は彼が書いたプログラムコードよって生み出されたものだということ。JavaScriptのプログラムが何千もの小さな色のストロークを作り出し、地層のような風景を作り出しています。この本では作品だけではなく、技術的な解説やエッセイなども交えながら全てのデジタルコレクションを印刷で紹介しています。

デジタル上のアートがこうして一冊の本として触れられる存在になるって素敵ではないでしょうか?
また一般的にデジタル上で完結しているデジタルアートが実際の書籍としての形をとることはより従来型のアート作品と同様に評価されやすくなるという意味でも重要な意味を持ちます。
私たちはまさにこの触れたり見たりして鑑賞するプロダクトとしてのデザインをすることを意識しました。さまざまな紙のサンプルや印刷テスト、製本テストを経て、箔押しやランダムなカバーデザインを取り入れた大判の見開きで展開される贅沢なアートブックとなっています。

NFTによりデジタル上でアートを所有することが可能となったこの時代に、あえて印刷物としての佇まいを見せるこのアートブックは私たちの触覚にも働きかけてきます。
ロンドンのWebサイトにはより詳細な情報とたくさんの画像イメージを掲載しているでぜひアクセスしてみてください!


最後に

いかがでしたか?今回は触覚をキーワードに3つのプロジェクトをご紹介しました。
感触・肌触りをいかに映像で表現するかを考えたプロジェクト、そして他方は本来デジタルのものをアートブックとして手で触れられるプロダクトに落とし込んだプロジェクト。
私たちは豊かなストーリーテリングによって見る人に感動を与える体験を生み出すという課題に取り組みました。そして実際に手で触れることはできないかもしれないけれど、触れた時に呼び起こされる感情を体験できるようなさまざまな表現を試みているのです。
monopoでは日々こうした表現へのチャレンジを行っています。

もっとmonopoのことを知りたい! という方はぜひこちらをご一読ください。


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