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ある歯科医師の独り言

ある歯科医師の話だ。
歯科という業界の可能性と限界についてだ。

今、歯科は転換期を迎えているそうだ。
歯科矯正しなくてもいいように歯並びが悪くならないように予防できないかというラインにきているというのだ。

僕も

歯並びと姿勢と子育てと

という投稿をしている。
正直この歯科医師の情報も多く含まれている。

その中で歯科医師は他の医科の部門に比べ、
予防の概念が非常に強いという。

虫歯や歯周病に関しては予防が行き届いてきたのに、歯並びだけは歯並びが悪くなったら「矯正してください。」という歯科医師がほとんどだ。

そもそも歯並びが悪くならないようにするということを研究した学問がないのかというと、『口腔育成』という概念があるらしい。

口腔とは口の中の空間を表す言葉なので、
空間を育てるとは?とも思うが、そういう言葉があるという。

そもそも論として、歯並びが悪くなることがおかしくて、適性に成長すれば勝ってに歯が並ぶというのだ。確かにそらそうだと思う話だ。

その歯科医師曰く、『口腔育成』を進めていくと、あることに気がつくという。

そもそも「口腔だけ育つということはない。」ということだそうだ。
全身が育って口腔も育つから、全身を見ないといけないというのだ。
それもそらそうだという話だ。

結局育児が全ての根っこにあることに気がついたという。

そうすると、結局妊婦や0−3歳までのお母さんに知識を入れるのが一番大事なこととなるという。

もちろんお父さんにも知識を入れて欲しいが、お父さんはあまり話を聞きにはこないという。それにどうしても日本ではまだ子育ての大部分はお母さんがしているという実態があるので、これはいた仕方ない。

そうすると、話をするのが仕事になってそれは保険点数がないから全く儲けがないのだそうだ。なんとか有名になって情報を売る商売ができたらいいなと思う。

さて、これが可能性の話だ。
そもそも悪くなる前に勘付き、それを訂正調整しながら成長を促すことができるという他の医療では考えられないような可能性を歯科は秘めている。

しかし、逆にその話はできても親が聞き入れてくれない、もしくはスマホばかり見て話を聞いていないと何もできないというのが歯科医師の限界だという。

もうあとは歯並びが悪くなったり、虫歯になったりした子供を後手後手に治すことになってしまうという。

こんな話を聞いた。

虫歯だらけの子供がきた。正直現代ではあまり見ないレベルだという。
親に聴取をしたところ「痛い痛いうるさいから連れてきた。」という。

そらそうやろうと子供に麻酔の注射をしないといけないので、苦労しながらなんとか治療をしたそうだ。

そもそも虫歯は砂糖を摂るとらないの方が歯磨きをするしないより問題が大きいので、「お菓子をあげるな。」という話を親にしたそうだ。

その親はスマホを見ながら「ハイハイ」と生返事をしたそうだ。

その歯科医師はその子供を救えなかったという。
それが歯科医師の限界なのだと。

歯科医師は家庭の問題を指摘はできても介入できるわけではない。
どうにもならなかったのだ。

6歳以下で虫歯が多発しているというのは歯科医師としては虐待を疑うという。実際その家庭は行政が少し介入していたらしいが、親子関係は良好(?)のようで、親が子に暴力を振ったりもしていないし、子供が親を恐れている素振りもない。ただ、親は子供がうるさいと思ったらお菓子を与え黙らせているというシステムを取っている。子供は欲しい時に欲しいだけお菓子がもらえているので、子供としても親に不満があるわけではない。

親が頭が悪いだけでシワ寄せが子供にきている状態なのだ。親も歯がボロボロで特に歯が悪いことをなんとも思っていないし、おそらく自分もそうやって育ったのだろう。

これは歯科的には虐待を疑うが、かなり難しい問題をはらんでいる。30年前はそんな虫歯だらけの子供はゴロゴロいたし、それで虐待と言われたりもなかった。しかし、現代では虐待を疑われる。みんながみんな現代の価値観を共有しているわけではない。いくらスマホが多くてもガラケーを使っている人もいるし、もはやキャッシュレスが時代の流れだがどれだけのひとが対応しているだろうか?

その歯科医師の話を聞いて、歯科というものの可能性を感じたと同時に医療そのものの限界というのも感じた話だった。

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