上顎を動かして食べる
「上顎を意識して食べましょう。」みたいな動画がXで流れてきた。具体的にはどんな動画かは控えさせていただくが、数万人フォロワーのいる整体師だ。知り合いのトレーナーからも確認がきた「どう思いますか?」。
正直、頭蓋の縫合でくっついているので、上顎が動くことはないと思うが、いつもの知り合いの歯科医師に聞いたところ、
「一応動画を見ました。上顎は動かないと言われているが、側頭骨の縫合のところで、たわむ感じで動くと言えなくもない。しかし、この動画で言っているのはワニみたいに動かすイメージで言っているので、この動画とはニュアンスが違うと思う。」とのことだった。
ちなみに一般的な動物は下顎が動いて咀嚼するが、ワニは下が地面なので、上顎が上に開いて咀嚼する。
ということで、歯科医師にも聞いたが、僕も同意見だ。この動画の言うような上顎が動くというようなことはないと思う。フォロワーも多いし、多分信者みたいなひとがいるだろうから変な発信はやめてほしい。と言った。
一般人の聞き齧った話よりは専門家の方が信頼度は高いと思うが、専門家と言われる人でもこう言うことがあるのだなぁと自分も注意しようと思った症例ではあった。
上顎がそんなにガクガク動くとするならば、その根拠を示してほしいものだ。
相談した歯科医師曰く、上顎の咬合平面(咬み合わせが構成する平面)を水平に地面からなるべく遠くするようにすれば、バレエとかで言われるような上から釣られた感じが出る。表現の仕方によって様々だがそういった表現もできるとのことだった。上顎を意識して姿勢を意識すること自体はいいことじゃないか?とも言っていた。
賢いひとほど色々な可能性を考え、頭の悪いひとほど言い切るような表現を使う。これが知的謙虚さとダニング=クルーガー効果だなと思った出来事でした。
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