レプリコンワクチンについて解説
はじめに
昨今、界隈でやたらめったら話題のレプリコンワクチン。流石に専門家とは言えないレベルですが、少しだけ調べてみました。
なるべく生物の知識のないひとでも理解できるように書いたつもりです。わからないところがあればコメントで書いてください。追記します。
レプリコンワクチンとは
RNAウイルス
レプリコンワクチンを理解するためにはRNAウイルスの知識が必要です。
そもそもウイルスとは自己複製ができない生物(?:厳密には生物と非生物の間と言われている)で、自分の遺伝子を宿主の細胞に入れて、その細胞の機能を使って自分の複製を作るという機能があります。
ウイルスにはDNAウイルスとRNAウイルスがあり、DNAウイルスは直接自分の遺伝子を組み込むのですが、RNAウイルスは自分の遺伝子を宿主細胞のDNAに「逆転写」して自分の遺伝子を組み込みます。
セントラルドグマ
「逆転写」という難しい言葉をまた説明しないといけません。
生き物は自己複製を作るためにタンパク質を作る必要があります。そのデータが遺伝子という形でDNAに記されているわけです。専門用語になるのですが、そのDNAからRNAにデータを移すことを「転写」、RNAからリボソームにデータを渡してタンパク質を合成してもらうことを「翻訳」といいます。
DNAは核から出られないのですが、RNAになれば核から出られます。そしてRNAが細胞内構造であるリボソームにデータを渡してリボソームがタンパク質を合成するという流れです。
このDNA→RNA→タンパク質合成の流れを「セントラルドグマ」と言います。
基本的には一方向に進みます。DNAウイルスであればDNAに直接ウイルスのデータを組み込むのですが、RNAウイルスの場合はRNAのデータを一回DNAに戻さないと継続的に複製が作れないのでDNAにデータを移す必要があります。本来の流れは一方向でそれを「転写」というのですが、無理矢理逆に進めるので「逆転写」と言います。
レプリコンワクチンの構造
このウイルスのRNA(感染力の部分や毒性の部分を切り取ったもの)をレプリカーゼという酵素を使って複製できるようにすることによって、少量でワクチンとして成立する(免疫力を獲得できる)ようにし、少量だから副反応も少なくできているとのこと。
そもそもワクチンに入れるRNA情報に感染力や毒性の強い部分を切り落としているため、従来のRNAワクチンより二次感染は非常に起きにくい(そもそもウイルスとして形成されない)。シェディングがひどくなると疑われているが、そもそもシェディングが存在しない(現段階)。自己複製はずっとされるわけではなく、時間でワクチンは代謝される。
レプリコンワクチンの考察
良い点
日本発のワクチンであり、うまくいけば国として儲かる。海外産のワクチンを買うことは厳密には日本のお金が海外に流出していることになる。
このワクチンの製造方法であれば、新種のウイルスが出たとしても対応しやすい。従来のワクチンの作り方のように鶏卵を使っていては大量生産や型が変わった時に柔軟に対応できない。もしくは対応に時間がかかる。
ワクチン接種が少量であり、副反応が少ない(従来のRNAワクチンより)。特に問題があった重篤な心筋炎は起きていない。
設計上、二次感染が起きない。
元論文がインパクトファクター5-10のしっかりしたジャーナルである。
悪い点
新しい技術過ぎてそもそも長期のデータがない。
ワクチンの設計の段階でのミスがあると大きい事故になる。もしくは高いお金を出して免疫獲得など何も起きないということが起こりうる。
元論文のN数が少ない。
N=96 実験はもっと多い数でされていたが、最後までひとを追えて結果として認められる数字が96。
論文を見る限り個人的には誠実に出した数字かなと思う。
陰謀論の的にしやすい。
レプリコンワクチンの個人的結論
情報を精査した限り、レプリコンワクチンは打っても良いかなと思っています。
僕は自分の考えがあり、どんなワクチンであれ打つとは思います。
打ちたくないひとは打たないという選択は間違いではないと思います。
例えば、若い女性で今後の人生プランに妊娠出産を考えているという場合、一度打ったワクチンは取り出したりできないからとか、もうちょっと長期経過とか症例数上がったのを見てから打ちたいという判断は間違いではないです。
ただ、「シェディングがー」とか「無限に増え続ける」とか科学的でない理由で打たないというのは何か違うと思いますし、その科学的でない情報を社会に風聴するのは社会悪です。打たないのは良いので、社会を害する行為はやめましょう。
最終的には自分の考えで打つ打たないは決めたらいいと思います。
長期データがないのは事実なので、特に若いひとはそれを理由に打たないはありだと思います。
先日、ワクチンを打つと感染しやすくなるというネット記事を見ました。医師が書いている記事でした。しかし、その話の根拠となる論文を掲載しておらず、個人的に調べましたが、そのような内容の論文は見つかりませんでした(この記事を書いている2024.09.18現在)。現状お気持ち発言という位置付けです。
ただ、まだデータが少ないので、打てるひとは打っていただいた方が、未来のひとのデータになるので、打ってもらえたらなと思います。僕は医療をする上でそういったデータの上で生きてきました。だから、自分がデータになれる時はデータになろうと思っています。だから打ちます。
医療や科学は先人達の実験やデータという巨人の肩の上の産物なのです。
参考論文
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