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初めての君。


人生で初めての恋人ができた。

同い年で、共通点が多くて、同じ職場の人。
私なんかよりも、周りの人を大切にして、
何よりも自分を大切にできる人。

正直、タイプの顔じゃなかった。
でも、ずーと眺めていたくなる顔だった。

なんとなくの毎日が、大切な毎日になった。

たくさん笑ったし、時に泣きながら話し合ったりもした。いい関係だったと思う。

でも、ずっと心の中に
「私なんかでいいのかな」がいた。
こいつはすごい厄介で、
定期的に現れてはわたしをぐちゃぐちゃにした。

まぁ、結果的にお別れをしたんだけれども。

未練がないと言えば、嘘になるけれど、
あなたの前で、私は私らしくいれたのかどうかと聞かれたら「うん」とは、いえない。

お互いの違うところを、
見ないふりして、地層みたいに過ごしてた。

厚い層になればなるほど、崩すのは難しいし
下の方は圧縮されてる。

もっと違う場所で、違う私で出会えていたらずっと一緒にいれたかなぁ、って歌詞みたいなこと考える。

多分、今世で私達はどう足掻いても一緒に新しい家族を、新しい命を喜ぶ瞬間は来ない。

だから思う。
来世では、理想の場所で、理想の私で出会っていて欲しいなと。

初めて、私を大好きになってくれた人。
大切にしてくれた人。助けてくれた人。

話が終わった車の中。
何も喋らない私達。
駅に着いて、いつもと同じように、
「大好きだよ」って伝えて、
初めて一回も振り返らないで駅の階段を登った。

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