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#020 オカマだって?『チェット・ベイカー・シングス』

チェット・ベイカーの歌を「中性的」と評するのを見るが、最初聴いたときに、そういった風には思えなかった。普通になめらかないい声である。

性の多様化が進む時代、もはや、「男」か「女」でまず分類しようという頭である方が危ないと気づくべきだ。

声質はともかくもだ、チェットの表現自体は、たしかにどっちともつかない「中道」である。そういった意味で、分断が進みつつある民衆のど真ん中をはにかみながら歩いてゆくような自然さがある。

あれ、多様化と言ったり分断と言ったり、前の段落と矛盾しているか、まあいいか。

チェットに歌われる曲はどの曲も「良く」聞こえる。いい曲しか取り上げてないのかもしれないが、チェットが「良さ」を引き立てているのだと思う。それも、まったく無理のない表現で。これはある意味至芸ともいえるのではないか。

そのスタイルは、彼の演奏するトランペットにも反映されているのは言うまでもない。

一曲挙げるのであれば、うーん、どれもいいのだけれど、ラストの「ルック・フォー・シルバー・ライニング」!

このアルバムのメイキングを記録したCD付きの本を紹介します。

多様化が進む時代、音楽の紹介で、CDしか選択肢がないと考える頭であるのは危ないと気づくべきだ。


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