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溶岩の叫び

今日はQueenの日。

初来日した日だからだそう。


初めて買ったLPがQueenでしばらく追いかけていたから結構聴いていたと思っていたのに、映画「ボヘミアン・ラプソディ」のエンドロールで流れた曲 " The Show Must Go On" がどれに入っていたか記憶になく、余韻が素晴らしく、あの映画の中で一番心に残った。フレディが亡くなる直前にリリースされた最後の曲だと知って胸が詰まった。


思春期の頃、ロックの歌詞などわかっちゃいなくて、反戦や政治や社会問題や恋愛の内容や、ましてや英語だし、ただ素の気持ちを熱く真っ直ぐに身体ごとぶつけてくるリズムとシャウトに共鳴していただけだった。負に籠ったものを発散させる昇華。


その後、耳に心地よく美しかったり楽しかったり、哀愁あったり、繊細な歌詞の物語に酔い、次第とロックから離れていった。ロックな青い時代から卒業したと思っていた。ロックな人達はまだ卒業出来ない青いままなんだとも。


"The Show Must Go On" はもう青い時代から卒業していた頃の曲。あまりよく知らないはず。


それなのに、一番響いた。

まだ続けなければならない」(意訳です)


まだ、生き続けなければならない。


これ以上に魂に正直な歌があるだろうか。

美しい飾りを剥ぎ取るとゴツゴツとした岩が剥き出しになる。自分でももて余す感情。ロックは純粋に正直な魂の叫びだ。荒々しい岩肌の内の燃えたぎった溶岩と向き合っている。


それは年を重ねても同じで、私は飾りものが何の慰めにもならないことに気づいてずいぶん経ち、人様に何を思われても真っ直ぐに正直な生き方ができる人に敬意を払い、私も恐れながらも身に着けてきた飾りを捨てようとしている。人は最後は溶岩だけになり、死して冷め風化していくのだから。


フレディが今生きていたらどんな歌を作ってどんな風に歌っただろう。老いることにもエンディングを与えないのか。"The Show Must Go On" の終わりは go on go on と歌が続いている。

Queen "The Show Must Go On "