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素直な子が伸びると人は言うけれど

求人広告を書いていると、「対象となる方」という項目があります。応募資格を記載する重要な項目です。どんな人物像が求められているのか深掘りするために、私はよく「どんな人が活躍していますか?」と質問します。そうすると一定数同じ回答がきます。

「素直な人」「言われたことをそのまま実行できる人」と。

この回答を聞くと、「やっぱりそうですよね」と私は深く頷きます。だってそうですよね。成功している人が、成功している方法を教えてくれているんだもの。そのまま実行すれば、うまくいくでしょう。

特に、未経験者採用の場合は尚更そうだと思います。「自分はこう思う」とこだわっているより、経験者の声に耳を傾けたほうがいい。絶対いい。最短ルートで成功したいなら。

これは子どもの指導にも同じことが言えると思います。習い事や勉強、なんでもいいです。言われたことを素直に実行できる子の成長スピードは絶対早い。でも同時に「自分で考えられること」が重要視されます。つまり、「言われたことの意味を自分で咀嚼した上で理解し、言われた通りに再現できる子」が伸びる。絶対伸びる。でも、そんなこと、子どものうちからできる子ってどのくらいいるのかな(一定数いるのは確か)とも思います。

私は定期的に子どもと接する機会がありますが、どんなに指導されてもその通りにできない子がいます。数年前からずっと同じことしか言われていないのに、ことごとくできない。言われた瞬間はできるので、再現できる能力はあるのだと思います。しかし、彼らはおもしろいくらいに自分の考えをプラスしてしまうのです。そして、周りの大人に「なんで言われた通りにやらないの?」と怒られる。何度も何度も怒られる。しかし彼らは、また自分で考え、そして失敗します。

私ははじめ、そんな子たちを見て「どうして正解の最短ルートを教えてもらっているのに(もはやチート)素直に実行しないのだろう」と疑問で仕方ありませんでした。イラつきさえ覚えたこともあります。でも最近、そんな彼らがとても愛しくなってきました。それはきっと、「失敗し、成功した者しか最短ルートはわからない」ということに気づいたからです。

大人は経験豊富です。回り道もたくさんしているし、行き止まりにぶち当たって、引き返したこともあるでしょう。だからこそ、自分たちのように失敗してほしくないと思う。できれば、最小限のダメージでゴールまで辿り着いて欲しいと思う。愛情以外の何者でもありません。

しかし、大人たちの思い通りに動いてくれる子どもは限られています。私も実際にアドバイスをしたことがありますが、はじめから言われた通りにしてくれる子はほとんどいません。時に「信頼されていない」とも思うけれど、「経験していないのだから成功なんてわからないよね。自分で考えトライしているんだね」と思うと、一気に愛しくなってきます。つまり、「成功者から言われた通りに行動したほうがうまくいく」ということすら、経験してみなければわからないことなのです。

時にそんな彼らに対して「ばかだ」「なんでそうなるの」「もう教えたくない」という大人がいるけれど、なんなら私もそうだった時があったけれど。それでも自分のやり方でトライする子たちが愛おしくありませんか。私は失敗をしたくない大人より、失敗を恐れずにトライしていく子どもたちから学ぶものがたくさんあるなと思います。なんなら、彼らは失敗するなんて思いもしていない。失敗に対する恐れすらないのかも知れません。

次に、素直に行動できることだけに焦点を当ててみると、自分で考えていないケースが存在します。その場合、自分で考えて失敗している人と、自分では何も考えずに言われた通りに実行している人とでは、長期的に見てどちらが成功する確率が高いのでしょう。

成長スピードの観点で考えると、「言われたことを素直に実行できること」と「自分で考えること」のバランス感覚がいい人材が最有力と思います。それは私もそう思う。しかし、私は人間らしい彼らが愛しくて愛しくて仕方ないのです。そして、そう思えるようになった自分について、「失敗したことで学んだんだね」と少し誇らしく思えます。だって、私は、失敗することがとっても怖かった時期があるのだから。失敗に対する恐怖が強すぎて、道から外れたら死んでしまうとすら思っていました。でも違う。失敗しても大抵死にません。そして、失敗した人にしか、失敗の方法も成功の方法もわからないのです。

ってことに気づいたので、シェアしますね。

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