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香港再上陸

香港との再会から約5ヶ月後、ついに香港に再上陸を果たした。気が付けば、初めての見本市から約4年の月日が流れていた。あの時は、まさか香港で展示販売会をやることをこんなに待ち遠しく思うとは思ってもみなかった。なぜなら、当時は、もっと色々なことがうまくいっていて、その延長でついでにやるかくらいになっている事を想定していたからだ。ところが、現実は全然違っていた。国内外共に思った以上に仙台箪笥の売上が伸びていなかったのだ。

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特に国内は、銀座三越等の東京の百貨店に必要以上に期待していた分、空振りした時の物理的そして心理的なダメージは相当大きかった。一方で、それがあったからこそ海外に本気で取り組むようになったので、今思えば、早めに厳しい現実に気が付けたので、それはそれでよかったのかもしれないが。

もっと言うと、国内は、仙台箪笥だけでは相当厳しいか無理という事に早々に気が付いたので、仙台箪笥と一緒にコーディネートしても違和感のないレベルの、かなり上質な無垢材の家具や一枚板の取り扱いも始めていた。その頃は、まさか、これらの製品が将来的に海外でビジネスを広げて行く上であんなに役に立つとは思ってもみなかった。

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さて、待ちに待った香港の展示販売会であるが、場所はその名の通り香港のど真ん中のセントラルにあるPMQと言ったオシャレスポットであった。期間は約1ヶ月で、事前のプレスリリースにより、初日はトークイベントとレセプションまでもがセッティングされていた。更には、地元メディアからの取材まであり、これはイケると思ってしまう要素がありすぎてかなり浮足だっていた。

実際に、トークイベントやレセプションは、香港のデザイン関係やグッドデザイン賞関係の方々で、賑わっていた。同様にギャラリーにも連日それなりの集客があった。ところが、これまた思った以上に売れないのである。お客様の反応が悪い訳ではなく、むしろギャラリーの性質上、感度の高い方が多く反応は良かった。しかしながら、冷静に考えると、それが逆に問題だったのである。つまりは、デザインに興味がある方の来店が多いためギャラリーにおいても購入と言うよりは、何か新しい発見があるのではないかと言った知的好奇心を満たすために来られている方が多かったのである。しかも、年齢的にも若く、中にはデザインを勉強中の学生もおり、大半の方が門間屋のターゲットから大きく外れていたのである。これは完全に誤算であった。香港の中心部にあるギャラリーと言うだけで、勝手に中華系セレブがやって来るギャラリーをイメージしてしまっていたが、現実のそれはイメージとは大きくかけ離れていた。

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この経験を通して、当たり前の事ではあるが、事前下見による売場とその客層の事前確認の重要性を改めて認識した。特に、海外の場合は下見費用も高くはつくが、展示会実施にあたって発生する経費が正に桁違いのため、万一の時に失うものがあまりにも大きいので必須だという事を痛感した。

そして、展示販売会の結果は、もちろん撃沈である。1ヶ月やったが日本円にして20万円も売れなかった。輸送費やギャラリーのレンタル費用、そして、僕の渡航費等を含めると完全にマイナスであった。ところが、この展示販売会はその後に続く、売上以上の素晴らしい出会いを3つももたらしてくれていたのである。

それらの出会いに関しては次回以降で書かせていただきます。


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