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この本の、この一節(4)

悲しみの花は、けっして枯れない。

それを潤すのは私たちの心を流れる涙だからだ。

生きるとは、

自らの心のなかに一輪の悲しみの花を育てることなのかもしれない。

(『悲しみの秘義』若松英輔)


生きていれば、

どんなに悲しみから逃れようとしても

必ず涙を流すことになる。

つらく寂しい出来事に涙を流せば流すほど、

心の中の悲しみの花は潤い、

瑞々しさを増していく。

その姿は、

悲しみを単なる負の感情から

祈りや願いへと昇華させ、

何とか生きていこうと再び目を開かせてくれる。

自分の中に宿る、この切なく甘美な関係性と

どう向き合えばいいのだろう。

悲しみの花を秘めながら生きることの命題について深く考えさせられた、一節。

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