ブラック企業って存在するの? [アメリカのIT企業での働き方]
ブラック企業の定義をwikipediaから
新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業
過去10年間のアメリカのIT企業に限って話をすると、ブラック企業はないです。
ここで明確にしたいことは「日本的なブラック企業はない」ということ。
まず、アメリカでは若者を大量に採用することがない。即戦力となる人材を採用するので、キャリアのない新卒が一番就職に苦労します。
アメリカは、2009年のリーマンショックから2020年の1月コロナパンデミックまでの10年間で、著しい経済成長を果たしました。
つまり、すごく景気が良かったのです。完全に売り手市場だったのです。
ソフトウェアエンジニアの求人は幾らでもあり、特に若い世代においては、高い給料や有名企業、さらなる経験を求め、3〜5年程度の期間で転職していきます。
そのため、企業は優秀な人材の流出に必死です。
そして、理解しておくべきことは「アメリカは移民で構成されている国」ということ。
様々な人種、国籍が混在している場所では、慣習的な共通認識(コモンセンス)といったものがないため、法の効力が非常に強いのです。
簡単に説明すると、生活習慣として、朝から深夜までとにかく働く国から来た日本人と、お昼過ぎに3時間程シエスタ(休憩)のある国から来たイタリア人の「普通」が同じわけがなく、双方共に全く悪意はないが、普通の概念が異なるため、反りが合わない。
「仕事が終らないから、終わるまで働く」人と、「7時間以上の仕事はしない。それ以上働くならば、さらなる給料が必要」と考える人が同じ職場にいるのです。
その結果、「ルール(法律)を決めて、全員それに従いましょう」となる。
外国人が「空気を読めない」のではなく「日本の空気と違う空気を読んでいる」というのが正しい。
さらにアメリカでは、様々な人種争いが近年まであった歴史を持ち、毎年移民を受け入れているため、人々は人権に関して非常に敏感に反応します。
パワーハラスメント、セクシャルハラスメント等で訴えられた企業が負けた場合、賠償金はスズメの涙のような額ではなく、訴えた側が一生働かなくて生きていけるほどの額になることが多い。訴訟大国アメリカでは、何かがあれば企業にとって大きな痛手となるため、人事は社員の動向に常に目を向けています。
通常、数人の部下からクレームを受けるような上司は、異動や解雇になります。
ただし、どんなに周りの社員から「弊害がある上司」であると声が上がっても、その人の雇用が会社や彼(彼女)の上司にとって有益であると判断された場合、何のお咎めもありません。
その場合、周りの社員が辞めていくこともあるでしょう。
ただし、「黙って堪えて病気になる」ということは決してない。そもそも、会社に対する忠誠心や依存度が低いのです。
monkeyも東京で典型的なブラック企業で働いたことがあります。心を病んで休職していく人が続出し、人々は終わりのない恐怖心と疲労感から、考える能力が失われてしまい、長時間労働の闇にハマる。
今から振り返ると「ただの時間の無駄」で「恐ろしいほど愚か」でしかない。
monkeyの経験上、企業のあり方や周りの人の言動が「おかしいな」と感じたら「誰の利益になっているのか」を考えると、色々見えてくる。
「自分が無知なだけなのか?」と思うかもれしない。しかし、その場合は納得するまで教えてくれる大人がいるはず。そうでなければ、「無能」な者が昇進し、居座ってしまう会社なのでしょう。
そして、その会社で働き続けるかどうかはあなたの選択です。
ソフトウェアエンジニアの皆さん、どうか基本的なことを忘れないで欲しい。
「システム構築は論理的かつ合理的な頭脳を要する仕事」です。
どの世界にいようと、優秀な人は優秀な人と共に働くことを望みます。会社の愚痴を言い続ける時間があるならば、さっさと見切りをつけて、優秀であろうと努力する時間に費やした方がより良い人生を送れるのではないでしょうか?