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【エッセイ】最後に笑えれば

~皆様、突然ですがクイズです。たくさん笑うとどんな健康効果があるでしょう?~



①免疫力が上がる。
②脳が活性化する。
③血流が良くなる。
④お通じが良くなる。









正解は












全部です。

すみません…


笑うことって色んな意味で体に良いんですね。


作り笑いでも良いみたいなので
いつも誰かのために頑張り過ぎて
笑えなくなってる方は、
たまには自分のために
おもいっきり無理にでも笑ってあげてください。


体は喜んでくれますよ。



そんな笑いに関しての
取るに足らないエピソードがあるので
どうか皆様聞いていただけないでしょうか?









私が高校2年生の頃
新入生歓迎会で野球部で出し物をすることになりました。


新入生達を
どの部活よりも笑わせようということ
野球部のメンバーで
それぞれコンビを組んで漫才をすることになりました。


私は野球部で仲が良かった
タクローくん
コンビを組むことになりました。


タクローくんは
お笑いオタクです。


私の知らない若手芸人などを知ってたり
テレビの笑いを分析したりして
お笑いについて熱い男でした。


私はタクローくんを信頼して
ネタ作りを全て丸投げして任せることにしました。


タクローくんは
それから水を得た魚のように
ネタ作りに没頭します。


周りの部員達が早々に
ネタを作って練習している中で
タクローくんだけは何日間もずっと
ネタ作りに力を入れ続けました。


私は、タクローくんが中々ネタ作りを完成しないことに内心かなり焦っていました
任せたのは私なわけですから
タクローくんを信じることにしました。







新入生歓迎会まで
残り1週間を切りました。


まだネタはできあがりません。

タクローくん頑張れ!!





あと5日を切りました。


それでもネタはできあがりません。

タクローくんなら絶対大丈夫!!







あと3日を切りました。


まだまだネタはできあがりません。


タクローくん…







いよいよ明日が新入生歓迎会です。


まだまだまだネタができあがりません。


あのアンポンタンヤロー!!








夜遅くに、ようやく
タクローくんから
「ネタができあがった!」
メールが送られてきました。

私は今まで焦らされた不満が爆発しそうでした。


しかし、
メールで送られてきたネタを読んでみると
遅くなった分、確かに面白いのです。


タクローくん、怒ったりなんかして
ごめん!!


確かにこれだけ面白いネタを書くには
何日も必要です。

タクローくん、君は天才だ!

これは爆笑間違いなし!!



明日までにネタを覚えないといけないので
私は必死にベッドの上で練習しました。







そして、
ドキドキの新入生歓迎会です。


本番直前にタクローくんに
合わせて練習しようと提案しましたが
「お笑いは自然な流れで生まれるから練習は嫌だ」と断ってきました。


先にネタを披露した
ほかの野球部員達がどんどん爆笑をとっています。





私達は舞台袖で待機していました。


さすがにタクローくんも
緊張しているようでした。


私はタクローくんの緊張を和らげるために
「ネタ面白かったから大丈夫だよ!」
と勇気づけました。


そして
「特に俺が言う『うんこのままで大丈夫!』っていうセリフ。あの突然の下ネタは絶対ウケるよ。」
とさらにどこが面白かったか伝えました。







すると、
タクローくんは真っ赤な顔になり
「『うんこのままで』じゃなくて
『うん、このままで』だよ!」

と土壇場になってセリフを修正してきました。




「普通ならわかるだろ!」
とタクローくんが怒ってきましたが、
私は「夜遅くにネタが送られてきたから頭が回らなかったんだよ!」と怒り返しました。


私達は、仲が悪くなった状態で出番を迎えました。


そして、険悪な雰囲気でマイクの前に立ち
漫才を始めました。




私達は合わせての練習を
1度もしていないにも関わらず、
素人としてはそれなりに形にはなっていたと思います。








しかし、驚くほどに
全くウケませんでした。


あまりにも野球部の身内ネタが多すぎて
わかる人にしかわからないのです。


新入生の、あのポカーンとした顔は
未だに忘れられません。


私は、心臓がギューっと苦しくなりますが
とにかく最後までやりきらないといけないので必死で覚えた漫才をやり続けます。







そして、絶対に間違えてはいけないのは
「うんこのままで大丈夫。」
「うん、このままで大丈夫。」
としっかりと言うこと。


私は心臓が飛び出そうなぐらいの
ドキドキの中で
なんとかしっかり句読点をつけて
問題のセリフを言い切りました。





土壇場でなんとか修正できた~!!
良かった~!!











と思ったのも



つかの間、タクローくんが
突然アドリブで
「こいつ、『うん、このままで』を
『うんこのままで』って覚えていたんですよ~」

新入生の前で暴露しやがったんです。


きっとあまりにもウケなかったから
動揺してネタの方向転換をしたのでしょう。


だけど、それも全くウケませんでした。


私は思考がお下品だと新入生に
暴露されたことと
恐ろしいほど冷えきった空気
未だかつてないほどの恥ずかしさを感じ
耐えられなくなりました。


ネタの途中でしたが
「どーも、ありがとうございましたー。」
と無理矢理締めて舞台から走って逃げました。




それから、学校内で
不仲お笑いコンビで有名になりました。













今はタクローくんとは
一緒にBBQしたり仲良しです。




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