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コロナ禍における柔道の国際大会 ~ワールドマスターズ2021ドーハ~

日本は緊急事態宣言が発令されたり
外国人の入国を制限するなど、
世界的にもコロナが蔓延している
状態が続いてますね。

そんな状況の2021年1月11~13日
カタール🇶🇦のドーハにて
ワールドマスターズが開催されました。

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日本代表選手も7名(男子3名、女子4名)が
参加することが報じられ、
ネットニュースのコメント欄には
危惧の念を抱く内容がいくつか散見されました。

では、実際どのようであったのか。

僕はモンゴルチームに帯同したので
それも踏まえて大会の様子を書いていきます。


ワールドマスターズ

まずはじめに、柔道を知らない方のために
この大会がどのようなものか簡単に説明します。
Wikipedia参照

柔道の世界大会にはいくつか分類があります。

上から順に
・世界選手権(1大会/年)
・ワールドマスターズ(1大会/年)
・グランドスラム(6大会/年)
・グランプリ(約10大会/年)

順位に応じてポイントが与えられ
オリンピックの出場やシード権に反映されます。

上のレベルの大会ほどポイントが
高い仕組みとなっております。

今回のワールドマスターズは
世界ランキング上位36名のみに
出場資格が与えられる大会であり、
いわば猛者の集まりです。

日本代表はすでにオリンピック
出場選手が確定しておりますが、
我々モンゴルは1人も決まっておりません。

したがって、どの選手も何とかして
ポイントを得ようという気持ちでした。


ウランバートル~ドーハ

モンゴルは国境を封鎖しており、
2020年3月より飛行機は全ての定期便が
キャンセルとなっております。

そこで今回は特別にチャーター機
手配していただくことになりました。

ちなみに往路はUAEでの世界大会を控えた
PUBGのモンゴル代表チームも一緒でした。

当然、空港内はガラガラで
カフェや免税店は閉まっている状態。

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外は他の飛行機がなく
うっすら積もった雪景色が綺麗でした。

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搭乗の際はバスで移動。
チェックイン時は耳にタコができるほど
距離を空けろと言われたのに車内はこんな。

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お世話になったHunnu Air
普段は近距離である国内線がメイン。

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機内は一部ビニールシートで
区切られておりました。

小型飛行機でしたが、乗客も少ないため
一人一人離れて座っても十分な広さ。

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規定があるらしく2時間に1度
添乗員がマスクの交換にやってきました。

約4時間のフライトを経て
カザフスタンのシムケントで給油。

そこからさらに約4時間かけてドーハへ。
帰りも同じルート。

⇩モンゴル上空。

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相変わらず煙が酷い。

⇩カタール上空。

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エメラルドブルーの海が綺麗。


カタール入国時

僕自身、昨年も別件で
カタールを訪れました。

そのときとはすんなりと
入国しましたが今はこの状況。
前回とは少し異なる手続きが行われました。

イミグレーションを通る前に、
その隣に設置された受付へ。

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カタールは原則として、
1週間の自宅隔離が定められています。
(詳しくはこちら

大会に参加する我々は隔離なしですが
滞在先情報の記入とPCR検査は行ないました。

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検査は鼻に突っ込むやつと舌をこちょこちょ。

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医者たちは手慣れた方々で
かなり速いテンポで次々とさばいていました。

それが終わると
通常通りの手続きを済ませて無事に入国。

外に出たら専用のバスでホテルへ。

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滞在先

柔道の国際大会は
いくつかのホテルが用意され
立地や予算などを考慮してチームが選びます。

今回は1つしか書いていなかったため
全員同じ所に泊まっていたと思われます。

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(このような詳細な情報を含むプログラムはIJFのHPにて、各大会ごとに掲載されているので、興味があるマニアックな方は覗いてみてください。)

Ezdan Hotel

✅部屋

いたって普通の内装。

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特に何するわけでもないから申し分なし。
ただ、湿気がハンパない。
窓が開けられず
空調も冷房機能しかなかったのが難点。

コーヒーと紅茶が2種類ずつ。
こういうのは意外に嬉しい。

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洗面所にある一番手前のやつは
使い方がよくわかりませんでした。

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26階の部屋で景色に期待するもビルに囲まれ
隙間から海がわすかに見える程度。

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夜はライトアップしてきらびやかでした。

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✅食事

食事会場は2ヵ所。1階は格式高く
4階はカジュアルな感じでしたが
どちらもメニューは同じ。

⇩1階

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⇩4階

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感染対策として、自分で取るのは原則禁止。
配膳スタッフが何人かいて
彼らに欲しいものを注文するスタイル。

普段モンゴルでは肉肉小麦肉肉米肉肉...
新鮮な野菜やフルーツを摂ることができないため
食材が豊富なのは非常にありがたい。
ここぞとばかりにいただきました。

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✅敷地内

外出禁止ではありましたが
ホテル内は特に制限なし。
中庭があり自由に出入りすることが可能。

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モンゴルの極寒から解放され、
のどかな風と程よい暖かさで
日向ぼっこが非常に心地よかったです。

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また、同エリアに練習場があり、移動は不要。

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ただ、かなり小さめで1チームが
1日に使用できるのは1時間のみ。

消毒のため、10分前には追い出され、
練習時間は実質50分。かなり限られておりました。


ホテル内は行動制限なしと書きましたが
空港での検査結果が出るまでは
赤のバンドをつけて、部屋で待機。

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緑のバンドをゲットしてからは
OKというシステムでした。


大会当日

✅会場

Lusail Multipurpose Hall

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宿泊施設からは23km。
大会専用バスで30分ほど。

周辺は荒野が広がる郊外に位置します。

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会場内の様子。
どの大会でもそうですが
赤・黄色の畳と天井の液晶モニタがカッコイイ。

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大会規定により、無観客。

シーンとして、空調がゴーと鳴る中、
審判と選手の声が響く独特な雰囲気は
今の状況でしか体感できませんね。


✅医療面

会場内のいたるところに
消毒ゲルは配置されていました。

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通常、試合後は礼をした後に選手同士が
お互いを称える握手やハグをします。
今大会では、審判が頑なに防いでおりました。

あれだけ激しく絡み合っているのに
握手はダメってなんでですかね?


一定数の試合が終わったら
畳の消毒が行われていました。

ちなみに待機エリアは
3密やらなんやらを気にする人は皆無だし
ここの消毒は朝の1度のみ。

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感染対策を批判やコロナがたいしたことない
とか言いたいわけではないですが
疑問に思うことは多々ありますね。


緊急時のストレッチャーや救護スタッフは
試合場の角にスタンバイ。

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裏には医務室もあります。

各チームのトレーナーは畳の上で
マッサージやテーピングを行います。
ベッドを持参するチームもちらほら。

図1.pngあs

アイシング用の氷は
探せばどの会場にもあります。
今回は親切に袋を置いてくださっていて
ありがたく使わせていただきました。

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✅飲食

普段、大会時の食事は
各自で用意しなければなりません。
今回は外出が禁止されているため
お弁当が用意されておりました。

人々が殺到して品切れとなり、
昼食抜きとなるトラブルもありました...

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水やちょっとしたホット飲料は
待機場所で自由に手に入ります。
(ブレブレの写真ですいません笑)

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余談になりますが
男性小便器が画期的でした。

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ハマド国際空港

せっかくなので
カタールの空港もちょっとご紹介。

ここもコロナの影響でガラガラ。

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それでも免税店は
すべて開いておりました。

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ペダルを踏んで出せる
消毒設備がたくさん。

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くっつかないように
イスにはひと工夫。

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モンゴル入国

大会最終日の13日の夜10時
(カタール時間)にはカタールを離れ
9時間のフライトを経て、
14日朝11時(モンゴル時間)に到着。

サウジアラビアでの世界大会後で
立ち往生となっていた
バスケ3×3の男子チームと一緒でした。

全員に防護服・手袋・ヘッドキャップ・
シューズカバーが与えられ、
隙間なく全身覆うよう指示されました。

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機内に係りの人が入ってきて
アンケート用紙の記入と検温。

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降りたら廊下に特設されたエリアにて
手荷物はブワーっと消毒され(写真右)、
スマホやパスポートは
アルコールティッシュでゴシゴシ(写真左)。

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そこを抜けると、同じく特設された
イミグレで入国手続き。
(この写真はネットから拝借)

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そして、専用のバスに乗り込んで
隔離ホテルへ移動。

感染がなんちゃらかんちゃらで
大きな預け荷物は返却されず
別の場所で保管されています。謎です。

14日間ホテル、7日間自宅の隔離生活がスタート。

ここについては、また別の記事でまとめます。


PCR検査

大会に参加するにあたって
合計6回受けました。

1回目:1月4日(渡航4日前)
2回目:1月6日(渡航2日前)

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3回目:1月8日(カタール到着時、空港)
4回目:1月10日(大会前日、ホテル)

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また、大会会場にも検査室が設けられており
試合後に受けるよう指示された選手もいました。

5回目:1月14日(モンゴル帰国時)
6回目:1月20日(隔離7日目)

隔離終了する時にも、
もう一度受けるような気がします。

1月20日現在、モンゴルチームは
全員(選手・スタッフ)陰性であり、
健康状態も異常はありません。


最後に

改めてまして
今回はコロナ禍での国際大会。

率直な感想としては、
特に何も問題はなく、いたって普通の
大会と変わらない
様子を感じました。

もちろん、それを支える大会関係者や
万が一に備えた医療サポートなどが
あったからこそとは思います。


コロナについては十分に解明されておらず、
過剰に不安を煽ったり、逆に軽視し過ぎている
意見や報道がごちゃごちゃしていますね。

正直、僕自身は重大なものだという
認識はありませんでした。

ただ、検査で陽性が出てしまったら
チームに多大な迷惑をかけてしまうため、
一層気を付けるようにはしていました。


今回の帯同を踏まえ、得体の知れない嵐が
過ぎるのをじっと待つのではなく、
少しずつ成功事例を作っていき、
周りの信用を積み重ねていくことが
大事であると感じました。

以前のような活気あふれるスポーツの大会が
盛んに行われる日々が来ることを願っております。


毎度のことではありますが、
このような経験ができて非常にありがたいです。

特に2020年3月よりモンゴルから出る術が
絶たれていたのでとてもいい機会でした。


今後も柔道の国際大会は1ヵ月に一度くらいの
ペースで開催が予定されていています。
これからも選手のサポートに励んでまいります!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

はじめて見た方は、
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