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「怪と幽」14号 記事紹介その一

「怪と幽」14号では複数の記事を手掛けたり、著者として登場したりしております。

まず、東亮太さんの新刊にして初の怪談集『夜行奇談』の発売を記念する対談企画にお相手としてお呼ばれしました。
どうしてお前が? と思われるかもしれませんが、実は東さんとはお互いが物書きとしてデビューする前からのおばけ仲間なんです。もう20年以上のお付き合いになります。
東さんは主にライトノベル方面で活躍してこられたので、なかなか私サイドから言及する機会はなかったのですが、今回はなんと妖怪&怪談を扱った掌篇集。そんなわけで白羽の矢が立ったようです。

本作はKADOKAWAの文芸WEBマガジン「カドブン」で少しずつ書き溜めておられたもので、一見スタンダードな怪談集のようなのですが、底にはがっちり仕掛けが潜ませてありました。各話、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」に登場する妖怪たちがモチーフになっているんですね。
しかし、妖怪の逸話をそのまま現代怪談にしたわけではありません。
それぞれの「怪」が「怪」たる所以となる肝のところを掴みだし、それを「得体」(得体が知れないの得体ですね)と名付け、それをベースにした怪談を仕立て上げているのです。斬新な試みです。
文体は現代の怪談実話を踏襲していますが、そこは根が妖怪者だけあって、最近多用されるパターンからは見事に外れている。”ありがち”の弊を逃れているんですね。これは貴重です。
しかも、「得体」が何であるかは一話終わった直後に明かされる構成になっていて、一回一回ニヤリとしたり「あ~、こういうことだったのか!」と膝を打ったりできるようになっているんです。
そして何より、「ちゃんと、怖い」。
怪談としての怖さも追求されています。
妖怪サイドからも、怪談サイドからもおすすめできる、得難い一作です。
ほんと、読んでみてほしい。
対談では、そのあたりの魅力を東さん御本人の口から語ってもらおうと頑張りましたが、さていかなる結果になっていますやら。
そこはぜひ雑誌を御購読の上、お確かめくださいませ。


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