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年末調整の時期だから…来年に備えて簡単にできるちょっとした資産運用の話

会社員の皆さん、年末調整の書類は提出しましたか?
毎年、10月から11月頃、会社から提出を求められる『給与所得者の保険料控除申請書』です。
生命保険などに入っていれば税金が安くなる。該当する項目があれば記入して提出するだけで所得税、住民税が減額される。「ちょっと得した気分!」になりませんか?
年末調整の時期だからこそ、家計を見直すことをお勧めします。
ちょっとした行動によって来年の年末調整に時期に、「権利は全部使ってます!とてもいい気分!」と思える人が出ているのではないかと思います。

今回は生命保険料控除で得をしよう!という話です。

生命保険料控除の仕組み

生命保険料控除は一定の基準を満たす、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に該当するものが対象となります。支払った保険料をもとに控除額が計算され、その合計額が総所得から控除されることになります。2012年1月1日以降に契約した保険の控除限度額は下記のとおりです。

一般生命保険料 [所得税 4.0万円/住民税 2.8万円]
介護医療保険料 [所得税 4.0万円/住民税 2.8万円]
個人年金保険料 [所得税 4.0万円/住民税 2.8万円]

なお、年間8.0万円超の保険料を払っていれば所得税では4.0万円の控除が受けられるので、一般生命保険に関しては限度額いっぱいの控除を受けている方も多いと思います。

生命保険、個人年金保険の加入実態

(公財)生命保険文化センターが発表している「生活保障に関する調査(2019年度)」によると、生命保険の加入率は30代で男性82.4%、女性82.8%、40代になると男性91.0%、女性89.0%となっています。多くの人が生命保険に加入しているという実態が伺えます。
一方で、個人年金保険の加入率は30代で男性23.3%、女性20.4%、40代でも男性24.6%、女性20.7%となっており加入率はそれほど高くありません。
ここから、一般生命保険料控除は多くの人が受けているが、個人年金保険料控除は一部の人しか受けていないことが推測されます。

(公財)生命保険文化センター「生活保障に関する調査」

視点を節税から運用に

『給与所得者の保険料控除申請書』を記入する際、一般生命保険料の欄に限度額いっぱいの金額を記入して「節税できてラッキー!」と思うか、それとも一般生命保険料では控除できたど個人年金保険料の欄に記入することがなく「もったいないなぁ~」と思うかです。

最初にお伝えしますが、単に節税目的で保険に加入することはおススメしません。というか大反対です!
しかし、ここでのポイントは生命保険、医療保険などと個人年金保険では少し性質が異なるものだということです。違いとしては個人年金保険が貯蓄型の保険であるという点です。
資産を減らすことなく節税できるのであれば、実質的な資産運用として考えることができるのではないでしょうか。

個人年金保険加入のススメ

資産形成を行う手段として個人年金保険を活用することがとても非効率であることはもはや常識?。多くの金融のプロの皆さんが様々なメディアで語っています。人気のある保険商品を見てみても、あまりの返戻率の低さに驚くことでしょう!
今回はあくまでも節税目的での個人年金保険なので返戻率の高さには期待しません。だだし、資産形成(増大)には寄与しないので、節税メリットが満額得られるなかでの最低水準で検討しようというものです。

検討にあたって注意点が2つあります。
①個人年金保険料控除の対象は「個人年金保険料税制適格特約」が付加された保険に限られます。個人年金保険という名称がついていても個人年金保険料の控除対象にならない(一般生命保険料控除の対象となる)ものも多いので注意が必要です。
②個人年金保険は途中解約すると解約返戻金が元本割れするものがほとんどです。ここでロスを出してしまっては元も子もないので無理は絶対に禁物です。

節税効果シュミレーション

どれくらいの節税効果があるのか例を挙げて説明します。

【モデルケース】
40歳男性(独身)
年間給与収入700万円、社会保険料100万円
年間生命保険料32.4万円
(一般生命保険料18万円、個人年金保険料14.4万円)

生命保険料控除8万円
(一般生命保険4万円、個人年金保険4万円)

給与収入700万円-給与所得控除180万円=総所得金額520万円
総所得金額520万円-社会保険料控除100万円-生命保険料控除8万円-基礎控除38万円=課税総所得374万円
所得税計算:3,740,000円×20%-427,500円=320,500円

個人年金保険に加入していなければ控除額が4万円減るので、
40,000円×20%=8,000円の差が生じます。

同様に住民税についても見てみますと、控除額が2.8万円減るので、
28,000円×住民税率10%=2,800円の差が生じます。

いずれも概算ですが、合計で10,800円の節税です。
個人年金保険料は年間14.4万円なので、
10,800円÷144,000円=7.5%の利率で運用するのと同様の効果があります。

資産運用の視点からの考察

上記の例はあくまでも1年間の掛け金に対する効果です。
資産運用は長期でおこなうものですので長期運用として、どのような効果があるのか検証してみましょう。

某優良保険会社での個人年金保険シミュレーションになります。
月掛保険料12,000円、払込期間20年
払込保険料累計額は12,000円×12ヵ月×20年=288万円
満期到来で受け取れる保険金は294万円(一括受取額)
返戻率はなんと102.1%。少ないですね。

上記の例から節税効果は毎年10,800円、20年でおよそ22万円。
保険金一括受取額294万円+22万円=316万円が経済的に得られる効果になります。

では、月額12,000円を20年間、毎月積み立てて福利運用した場合、何%の利率で運用すれば316万円になるのでしょうか?
計算結果は0.9%になりました。保険内容をもう少し小さくすれば1.0%以上にはなると思います。

資産運用の運用利率として年1.0%と聞いてどう思いますか?
低いですよね!運用利率としては。

でも、銀行の積立定期預金では年0.02%の時代です。
少額ながらも確実に老後資金が確保できるので、資産形成手段のひとつに考えてみてもいいのではないでしょうか。



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