マネゴリ相場展望レポート
今週の日本株は一進一退の攻防となりそうだ。前週末の米国株が大幅安となったことが、米国株が売られた理由は、景気懸念ではなく、政策金利引き上げフェーズの終了が先延ばしされる可能性が高まったとの見方により、投機の売りが再び活発化しただけと見ていいだろう。
引き続き市場金利の上昇→株売りという旧常識をベースとした投機戦略で売買を繰り返しているが、個人投資家さんは同じような思考レベルにならないように注意が必要だ。
そもそも景気が堅調なのに株売りを積極化すれば、バリュエーションが割安になるだけ。その状態は、目先の値動きに反応する投機家には売りの好機となるかもしれないが、「投資」にとっては逆に買いの好機となるだろう。 売り投機は下落トレンドの持続性がなくなってしまうとトレンドフォローが戦略の基本であるため、即座に買戻し売買を機械的にしかも、単調に行ってしまう。この目先の投機の値動きに翻弄されてもパフォーマンスなど向上しない。
特に機械トレードの質は、極めて低くなっていることをよく理解してもらいたい。何故機械トレードの質が低くなるのかには、絶対的な理由があるのだ。その点については、後ほど説明する。メディアや弱気派の市場関係者は、こうした機械トレードの売買に思考が振り回されて、後追い解説をしている程度の思考となっているので、真面目に話を聞くと、いつまで経ってもマーケットを理解できない。
さて、前週末の米国株が大幅反落となり、ダウ平均に至っては、年初の上げが完全に帳消しとなった。この状況を取り上げて弱気派は、年初の上げが終了したなどと騒いでいるが、真面目に聞くだけ無駄だ。僅か30銘柄で米国株式市場を語ることが如何に馬鹿げたことであるのかなどいちいち説明するまでもないだろう。事実、NASDAQ総合指数やS&P500指数は、未だに高い水準を維持している。ただ、NASDAQ総合指数もS&P500指数もデッドクロスとなっており、先行きに対する懸念は、多くの市場関係者に意識されやすいのは仕方がない。
しかし、米国景気が予想以上に堅調なことを過小評価するべきではない。堅調な経済状態において付加価値を社会に提供し、その恩恵を受ける側であるはずの企業の評価(株価)が継続的に下げ続けると考えることは、明らかにおかしいだろう。以前から繰り返しているように、経済が堅調なのに株価が下落する現象は、バリュエーションを割安にするだけだ。そのような環境で、過度に先行きに対して弱気になる必要は全くない。
弱気派は、政策金利の急激な引き上げと市場金利の上昇で景気後退に陥ると騒いでいたが、彼らの予想が当たる気配は全くない。雇用環境は依然として良好で、個人の貯蓄率は低下しているものの、コロナ・ショック時に増加したストックベースの過剰貯蓄が未だに存在しているので、フローベースの貯蓄率が少々低下したところで、経済に大きな悪影響を及ぼさなくなっている。米国の賃金上昇率は、2022年12月時点で+4.9%となっているから尚更だ。
金利が上昇してもこれだけ堅調な経済を維持しているのは、コロナ・ショックで過剰貯蓄が2兆5000億ドル(日本円で約3兆3000億円)も発生していたからだと言われている。これはストックである。このストックを食いつぶすためには、貯蓄率はマイナスにならないと減らない。つまり、フローの部分だけで分析しても意味がない。コロナ・ショックに対応するために行われた大規模な財政政策の多くは「補助金」であり、補助金はフローの経済活動(付加価値活動)を通じて発生するものではないため、GDPには反映されない。だから、その変化を過小評価していると指摘しているのだ。米国の景気は予想に反して堅調であることも予想できなかったのである。米景気後退になる可能性は低いと何度もこのレポートで指摘したが、予想通りの動きとなっているだろう。
【質の低い機械売買】
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