見出し画像

$マネゴリ相場展望レポート⑩$


【谷深ければ山高し】

 今週の日本株は、日経平均株価27000円の攻防で推移。投機的な急落は一巡し、じわりじわりと上昇の一途をたどっている。要因は米国企業の決算発表だろう。景気先行き懸念から企業業績悪化を先取りした下落が8月、9月とあったが、一番懸念されていた投資銀行の決算は6社中5社が予想を上回る内容となり米株式市場は堅調な値動きとなっている。つまり高インフレや金利上昇による景気への悪影響は予想ほど大きくないことが示されている。
 現在の米国の高インフレの背景は、コロナ・ショックによる大規模な財政政策の結果であり、ディマンドプル・インフレ(需要が旺盛で消費が強いインフレ)なので、企業業績が予想以上に堅調なのも当然だろう。

また国内市場に目を向けると日本企業はバランスシート不況を既に乗り越え、直近の野村證券のレポートでは過剰資本が意識されるまでになっている。来週から本格化する四半期決算発表では、この過剰資本を用いた自社株買いなどの資本政策が活発化する可能性が高い。ここまで比較的日本市場が堅調に推移していた理由の一つでもある。投資家の投資意欲の低下を抑制している。この点は日本株の四半期決算を見る上で重要なポイントなので要注目だ。
 もう一点、日本市場が他国の市場より強みがあるとすれば、欧米よりも遅れてコロナ規制が解除されている点である。インバウンド需要が本格的に高まってきた現在、欧米のような景気先行き懸念よりも景気回復期待が高まるフェーズとなる。
 政治と経済の一体化の流れを踏まえても、経済危機は乏しく、企業価値の多くは増加し続けるので、投機による売り局面は、投資にとっては逆に強気になるべき局面だろう。
 なお、ドル円は、1ドル=150円に届くほどの円安の流れとなっているが、海外売上比率が高い企業にとっては、欧米の景気後退リスクを緩和させる要因ともなるので、一部の経済音痴の政治家や、市場関係者による円安デメリット論に過剰反応する必要はない。
 そもそも多くの市場関係者が懸念するほど日本株の投資環境は悪くないのが現状だ。今月に入っても市場金利上昇と株売りのパターンに変化はないものの、徐々に下げ幅は限定的となってきている。つまり、市場金利の上昇をベースとした株価下落パターンに徐々に変化が生じてきているのかもしれない。                          先程既述したようにその変化の要因は、直近の米企業決算内容が市場予想以上に堅調を維持していることが大きく影響しているのだろう。
 市場金利の急激な上昇が景気後退を引き起こす可能性が高いとの見通しから、景気先行き懸念を過剰に意識し、個別企業の業績悪化を強調していたが、その懸念も杞憂に終わりそうだ。


【グローバル化の崩壊が始まる】

ここから先は

2,087字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?