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$マネゴリ相場展望レポート⑦$


【景気後退懸念は杞憂に終わる】

市場の注目が高かったFOMCは0.75%の利上げとなった。一部では1%の利上げも予想されていたが、結果は市場予想通りの内容。利上げ自体にサプライズはなかったものの、政策金利の見通しが上方修正されたことから、11月も0.75%の利上げが行われることが意識され、政策金利の引き上げ発表直後に米主要株価指数は急落しNYダウの終値は522ドル安となった。
 多くの市場関係者は、政策金利の影響を受けやすい米2年債利回りは上昇する一方、10年債利回りは逆に低下したことで、逆イールドのスプレッド拡大→景気悪化を示唆とし、株価の一段の下落を騒ぎ始めた。
 しかし、市場の急落の本質は、景気悪化を意識してというよりも、FOMCというイベントに乗じたボラティリティの上昇を意識し投機が活発化しているだけの可能性が高い。

【FRBがタカ派姿勢を維持している本質は?】

 恐らく、実際の米国経済が予想以上に堅調であるということでタカ派姿勢を維持している。米国の名目GDPが高い成長を維持しているので、政策金利の引き上げ余地が大きいと判断しているのだろう。
 期待インフレ率をベースにした実質金利は、弱気の市場関係者が懸念するように既にプラス圏に浮上しているが、現時点のインフレ率をベースにした実質金利は大幅なマイナス金利のままである。
 だからこそ、政策金利の引き上げ余地は大きいと判断し、来年の政策金利の見通しも引き上げたのだろう。
 名目GDPは現在のような高い成長が低下しても、来年も3%以上の成長率が予想されている。米国経済のポテンシャルはそれほど高い。
 だから、投機の売りはバリュエーションの低下をもたらすだけのイベントで終わる可能性が高いのである。もちろん、コロナ特需が剥落した企業の利益の大幅な減少の可能性は否定しない。それは特需が剥落しただけであり、経済全体の需要が縮小する景気悪化にはならないだろう。急落は投資の好機と常に言い続けているのは、こうした背景があるからだ。

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